大阪ビル放火殺人事件 ポケットに2本の催涙スプレー、容疑者の行動心理を分析

小川 泰平 小川 泰平

 大阪市北区の繁華街・北新地にある雑居ビル4階の心療内科クリニックから17日午前に出火し、24人が死亡した火災で、大阪府警は現住建造物等放火と殺人の疑いで、意識不明の重体となっている住所職業不詳・谷本盛雄容疑者(61)を特定した。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は出火当日に現場を取材しており、20日も再び現場を取材したうえで、当サイトに対して、谷本容疑者の行動心理を分析した。

 火災は17日午前10時20分ごろ、大阪市北区曽根崎新地1丁目の雑居ビルで発生。心療内科医院がある4階の一部約25平方メートルが焼け、27人が心肺停止状態で搬送され、20日までに24人の死亡が確認された。死因は急性一酸化炭素中毒と発表されている。

 府警によると、119番通報される前に、クリニックに紙袋を持った男が現われ、入り口付近で紙袋を蹴り倒すと液体が流出し、火が燃え上がったという。入り口付近からガソリンの可能性のある油分が検出されており、20日には同容疑者が事件前、生活拠点としていた大阪市西淀川区の家近くでガソリンを購入していたことが分かった。

 小川氏は火災が起きた17日、大阪市内でのテレビ番組収録後、騒然とする現場に急行。3日後の20日も再び現場を訪れた。現在も4階部分はシートで覆われ、現場には数多くの花が手向けられていた。

 小川氏は同容疑者の心理について「大勢の方を殺害するという目的だったかどうかは別として、火を付けてやろうとする計画性はあったと思います」と指摘した。

 さらに、同氏は「液体の量は多くない。私はこれまで放火の現場に何度も行っているが、油を複数箇所にまいて、火を付けてもっと大きく燃えていることが多い。私は17日の午後2時過ぎに現場到着したが、その時は、まさかこんな多数の人が亡くなるとは思えないくらいの、ぼや程度にしか思えない現場でした。火を放った場所が非常階段やエレベーターの近くなどだったという不運が重なったと言えると思います」と状況について見解を述べた。

 ビル火災前の17日朝に谷本容疑者の自宅とみられる住宅で火災があり、防犯カメラには同容疑者と似た人物が自転車の荷台に紙袋を積んでビル方向に進んでいる姿が記録されていた。また、同容疑者が搬送された際、ポケットに催涙スプレーが2本入っていた。

 小川氏は「自宅でシミュレーション的なことをしてから犯行現場の病院に向かったとおもわれます。本人が、自分が通院している病院で犯行を犯すという強い意識はあったと思われる。ただ、それが病院全体に対する、逆恨みも含めた恨みなのか、院長先生や職員の方に対してなのかは分かりませんが、何か、本人的にトラブルがあって、催涙スプレーで逃げられないようにしてやろうという気持ちがあったのだと思います」と推測した。

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