まいどなニュース編集部に読者から1通のメールが届きました。
「自宅の窓にメジロが衝突し、庭に倒れていました。保護して翌日まで様子を見ましたが、残念ながら息を吹き返しませんでした。死がいの処理方法を調べると、私有地で死んだ場合は各自でごみとして処理してくださいとありましたが、まさか家庭ごみで処分とは思いませんでした」(メールから抜粋)
死がいとはいえ可燃ごみで処理とは抵抗があります。自宅で野鳥の死がいを見つけたらどう扱えばいいのでしょうか。調べました。
「家庭ごみとして処分」全国ほぼ同じ対応
ペットの場合、全国に火葬や葬儀を行う業者がいます。「鳥 火葬」で検索すると、ペット専用の火葬業者が多数ヒットします。小鳥用の棺や分骨カプセルなどを用意する業者もありました。
では小さな野鳥の場合は?
兵庫県下の農林水産振興事務所に野鳥の死がいの処理方法について尋ねると「家庭ごみとして、燃えるごみの日に出してください」。今回のような事故死の場合、「全国どこでもほぼ同じ対応」だといいます。東京都環境局にも電話取材すると同様の回答でした。
全国の自治体のホームページを調べると「死んでいる野鳥を見つけた場合には、細菌や寄生虫に感染しないよう、死亡した鳥を素手で触らずに、ビニール袋に 入れてきちんと封をすれば、廃棄物として処分することも可能です」(福島県)、「野外で死んだ野鳥をみかけたら、素手でさわらず、ビニール袋に入れ、きちんと封をして一般ゴミとして処分するか、埋設してください。取り扱い後は手洗い、うがいをしっかりしてください」(長野県)など、ごみとして処分することがアナウンスされています。
特に分かりやすい兵庫県養父市と奈良県の説明を紹介します。
「野鳥は、鳥インフルエンザ以外にも様々な細菌や寄生虫を持っていることがありますので、死亡した鳥は素手で触らず、ビニール袋に入れ、封をして一般廃棄物(可燃ごみ)として処分してください。廃棄物の処分は、原則的に土地の所有者・管理者が行うことになっています。
・自分の土地であれば、面倒でも自分で処理をお願いします。
・道路であれば、国・県・市等の道路管理者に連絡をお願いします。
・公の土地・建物であれば、その施設の管理者に連絡をお願いします。
鳥の死体を埋葬するときは、自己所有地又は当該土地所有者の了解を受けて、公衆衛生上に支障の出ないように深い穴を掘って埋めてあげてください」(兵庫県養父市ホームページより引用)
「死亡野鳥の回収について 連絡の必要が「ない」場合
・スズメやハト、小鳥が1~2羽で死んでいる場合
・外傷が見られるなど、明らかに病死以外の原因が考えられる場合(高圧線での感電死を含む)
・死体の腐敗がはじまっている場合
・検査対象羽数表から、検査対象でないことが読み取れる場合
・養殖池等、管理者が明確な場所や立入回収が困難な場所にある死亡野鳥
上のような場合には 回収・検査はしませんので、死体はビニール袋に入れて処分してください」(奈良県ホームページより引用)
日本野鳥の会、庭に埋めることは「自然の流れ」
野鳥の死がいの扱い方について、日本野鳥の会に聞きました。
「ご自宅の庭で野鳥が死んでしまったのであれば、お庭に埋めてあげるとよいと思います。私有地以外での土地に埋める場合は、土地所有者・管理者の許可が必要かと思います。分解されて、その土地の物質循環に取り込まれるのが自然の流れかと考えます。埋めることができない場合は、自治体の方がおっしゃるように、ごみとして処理することになります」(同会担当者)
また、処理の際の注意点としては「野鳥は様々な細菌や寄生虫を持っていることがありますので、素手で触らない、触った後は消毒するなどの配慮が必要です」としました。
窓ガラスへの衝突、防ぐには
住居の窓ガラスに野鳥が衝突しないように、家庭でできる対策はあるのでしょうか。同会では過去に「衝突を防ぐには」として、サイト内で紹介しています。
「鳥がガラスにぶつかるのは、外の景色が映るとか、ガラス越しに向こうの景色が見えるなどして、障害物として認識されないためと考えられます。猛禽類などをデザインした衝突防止ステッカーが販売されているほか、ガラスにいろいろなものを張ることやブラインド、カーテンなども障害物として認識させる効果があるでしょう」(日本野鳥の会「野鳥を楽しむポータルサイト BIRD FAN」より引用)
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もし自宅で野鳥の死がいを見つけた場合は(1)私有地に埋める(2)埋葬希望地の土地の所有者の了解を得た上で埋める(3)埋葬場所がない場合は家庭ごみとして処分するーーという3つの方法に絞られました。なお、1カ所でたくさんの野鳥が死んでいる場合は居住地域の自治体窓口へ連絡が必要です。
冒頭の読者は次のような対応をしたそうです。
「家族で庭の隅に埋めました。倒れたメジロのことは小学生の子どもも心配していたので、命を見送る気持ちで心を込めて埋めました。子どもはミカンを一切れ一緒に埋めて『天国で食べられますように』と手を合わせていました」