女優の伊藤かずえさんの愛車初代シーマが思わぬ経済効果を及ぼしていることが分かりました。伊藤さんは当サイトの取材に対して「日産自動車によるレストアのおかげ」とし、「シーマを知らない世代にも届いたのかもしれません」と驚いた様子でした。
老舗プラモメーカー「影響あります」
「伊藤かずえさんの影響はあります」
こう話すのは創業1924(大正13)年の老舗プラモデルメーカー青島文化教材社(静岡市葵区)の担当者。同社では以前から日産自動車「Y31シーマ」のプラモデル2種を販売。2021年4月と9月にリニューアル発売したところ、レストアの話題と連動して注文数が伸びているといいます。
増加の理由について同社担当者は、コロナ禍による巣ごもり需要と、伊藤かずえさんのシーマレストアの話題の2つの影響があると分析。「プラモデルは世間で話題になったものが必ず売れます。伊藤かずえさんのレストアの話題も、少なからずではなく、十分に影響があります」(担当者)。
来場者数は「コロナ禍前に戻った」
伊藤さんの愛車を展示する日産ギャラリー「NISSAN CROSSING」(東京都中央区銀座5丁目8番1号)にも変化が起こりました。
同ギャラリー支配人によると、12月8日から展示したところ、来場者は初日は平日にもかかわらず通常の約5倍に膨れ上がりました。「シーマ展示の効果は想像以上です」。
来場者数は平日、週末ともにコロナ禍前の数字まで戻ったといい「外国のお客様がいない状態で、コロナ前と同じにぎわいになり非常に驚いています」とうれしい悲鳴を上げました。展示は22日まで。
伊藤さん「ママ友も見に行ってくれました」
伊藤さんにシーマのプラモデルにまで影響が出ていることを伝えると、「プラモデル、人気なんですね! 日産自動車のレストアのおかげですね。今回のレストアでシーマを知らない世代にも有名になったのかもしれません」と話しました。
また、ギャラリーの来場者数が増えていることについては、「連日大盛況のようで、1週間の予定を2週間に延長してよかったと思います。ママ友も見に行ってくれて、『スゴイ大勢の人が見てたよ』と教えてくれました。YouTubeやTwitterにも皆さん写真付きのコメントをあげてくれています。ありがとうございます」と感謝しました。
展示は当初、1週間の予定でしたが、「(会期中に)土日が1回しかないと遠方の人が見に来られないかもしれない」という伊藤さんの配慮により、2週間に延長された経緯がありました。
「シーマ現象」で爆発的人気車に
日産自動車によると、初代シーマFPY31型は1988(昭和63)年発売。CIMAはスペイン語で頂上の意味。コンセプトは「日本的な味を持った、世界に通用する新しいビッグ・カー」。「従来の国産大型セダンになかった伸びやかで気品あるスタイリングとインテリア、パーソナルな乗り味や優れた運動性能など、数々の新しい価値が大好評となり、当時の経済メディアがシーマ現象と報道するほどの爆発的人気車になりました。発売翌年には消費税導入も追い風になり、当時のいわゆる3ナンバー車ブームの発端にもなります」(同社)。
伊藤さんは発売から2年後の1990(平成2)年、コマーシャルのギャラ約500万円を使って購入。それ以来、30年にわたり大切に乗り続け、伊藤さんファンやカーマニアたちの間で称賛されました。伊藤さんのシーマ愛を知った日産は新品同様に修復するレストアを申し出、伊藤さんも快諾。2021年4月から約8カ月のレストア作業が終了し、12月7日にお披露目となりました。
同社サイトによると、現在のシーマの人気車種は「CIMA HYBRID VIP G(2WD)」(9331300円)、「CIMA HYBRID(2WD)」(8231300円)、「CIMA HYBRID VIP(2WD)」(8781300円・いずれも税込み)など。発売当初のような「シーマ現象」は再び訪れるのでしょうか。