「緑内障が完治することはない」。緑内障の鍼灸治療に警鐘を鳴らす投稿がSNS上で大きな注目を集めている。
「緑内障末期で手術勧めた人が、鍼灸で手術なしで治ると言われたから今後はそっち行きますって 緑内障が完治することはないですよ 不安な人は都合のいい事言ってくる人に洗脳されやすいってこと そしてそれを狙ってる人がいること 周りが全員止めてきたら、一旦冷静になりましょうの合図だと思ってる」と、投稿したのは総合病院にお勤めの眼科医、ゆきむらさん(@ganka1212)。
実際、緑内障の治療に鍼灸が有効だと主張したり、有効だと誤解を招きかねないまぎらわしい宣伝をする鍼灸師は多い。それが元で取り返しのつかない状況に陥ってしまう人も少なからずいるようだ。ゆきむらさんの投稿に対し、SNSユーザー達からは、
「針で新しい流出路を…!というのは冗談ですが、緑内障は本当に難しいですね。どんなに説明しても分かってもらえない事はあるので、くれぐれも無理されないよう。」
「緑内障だと知って近寄ってくる。宗教勧誘。名医紹介。そんななか、さすればなおると言ってた人が階段から落ちて打撲。苦しんでた。さすればなおるのでは?と思ったがグッとこらえた。」
「ちゃんとした鍼灸師さんが迷惑されるケースだと思います。代替医療とは言うものの、守備範囲を違えてはいけないと思う」
など数々のコメントが寄せられている。
ゆきむらさんにお話を聞いた。
--このような例は以前からよくあるのでしょうか?
ゆきむら:時々あります。やはり手術になると怖いと思う方も多く、白内障や緑内障が進行して手術を勧めても、何か違った方法はないか、手術を避ける方法はないかを探す方がいます。もちろん調べる事は大事だと思うのですが、明らかに効果のあまりなさそうな治療や医療器具なども世の中には存在し、藁にもすがる思いでそちらに頼ってしまう方がたまにいます。
--こういう場合、ゆきむらさんは患者にどう対応されるのでしょうか?
ゆきむら:この患者さんに限った話ではないですが、手術の必要性を再度しっかり説明させて頂く事で考え直してもらい、手術の決心がつく方もいます。が、「やはり手術はしません」と言われたり、突然病院に来なくなってしまう方もいます。おそらく自分の信じた治療法を試しているのだと思います。
--これまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。
ゆきむら:色んな意見を頂きましたが、手術を避けたいと思う気持ち、怖いと思う気持ち、他の治療法を探す気持ちは痛いほどわかりますので、治療法の説明だけではなく、患者様の気持ちの配慮、不安の解消などにも主治医として今後さらに考えていかないといけないなと感じました。
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今回の投稿は「鍼灸を完全に否定するつもりはなく代替療法を完全に信じきってしまい、病院での治療をやめてしまう事に対する啓発でした」というゆきむらさん。もし読者のみなさんや周囲の方で同様のケースがあれば、どうか眼科医の診断を尊重し、冷静で科学的な治療を洗濯していただきたい。
なおゆきむらさんは日ごろからより正しい眼科の医療情報を普及すべく、SNS上で積極的な発信をおこなっている。ご興味のある方はぜひチェックしてほしい。
ゆきむらさん関連情報
Twitterアカウント:https://twitter.com/ganka1212