「陥凹拡大」といわれたら眼科で精密検査を 失明の恐れがある緑内障の疑い

ドクター備忘録

窪谷 日奈子 窪谷 日奈子

健康診断の結果で「視神経乳頭陥凹拡大」と書かれることがあります。「白内障」「出血」「動脈硬化」ならすぐにイメージがわきますが、「陥凹が拡大したらなにが悪いのか」ぴんと来ない方も多いでしょう。人によっては要精査と書かれているのに、そのまま放置していることもあります。

しかし「陥凹拡大」を指摘されたときは、必ず眼科を受診するようにしましょう。「陥凹拡大」は簡単にいうと「緑内障の疑いがある」ということです。緑内障は放置すると失明につながる病気です。それでは「陥凹拡大」と緑内障はどう関係があるのでしょうか。

まず健診で行う検査は、目の奥の写真を撮り、医師が診て病気かどうか判定します。脳から出てきた視神経は目の奥に入りますが、そこが視神経乳頭として写真に写っています。視神経は健康な方でも陥凹がありますが、陥凹が大きい場合、神経が薄く弱くなっている可能性があるのです。陥凹が拡大していると「神経が弱い=緑内障の疑いがある」ということで精密検査をすすめられる訳です。

実際に緑内障かどうか調べるためには、眼科で精密な神経の写真を撮影したり、見えている範囲を調べる視野検査を行う必要があります。一見陥凹が大きく見えても、緑内障ではなかったということもよくあります。しかし緑内障はかなり進行しないと自覚症状が出ないので、健診で陥凹拡大が指摘されたら精密検査が必要です。視野に明らかな欠けが出てくる前に神経が薄くなる変化が先に出るので、人によっては早めに進行予防の目薬をすることもあります。

緑内障は40歳以上の20人に1人の頻度で、けしてまれな病気ではありません。日本では失明原因の1位です。健康診断で「視神経乳頭陥凹拡大」といわれたときには、眼科で緑内障の検査を受けるようにしましょう。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース