5ヵ年計画で「猫の殺処分ゼロを目指す」。−−官民連携で“新しい猫助け事業”をスタートさせた岐阜県飛騨市が、猫も猫好きさんも嬉しい飛騨の特産品を返礼品としたふるさと納税をスタートしました。
飛騨市と保護猫活動事業をおこなう「ネコリパブリック」(東京都台東区)が立ち上げた「SAVE THE CAT HIDA」は、地域の高齢者の孤立や空き家問題などを保護猫のお世話にうまく絡めつつ解決して、保護猫がより幸せに一生を終えることのできる仕組みをつくる新しい取り組みです。初年度の2021年は資金調達のための「ネコプロダクトの開発」が始まり、飛騨市の事業者が猫をテーマに地域産品を開発しました。
「米・食味分析鑑定コンクール」で金賞を受賞したお米「飛騨こしひかり」が返礼品に
プロジェクトに寄付ができる商品として、可愛い猫パッケージのお米「飛騨こしひかり」や、特産品が詰め込まれたセット、猫と人が一緒に食べることのできるジビエジャーキーなどが用意されました。11月19日に受付が開始されると「ネコ好きさんに、最強だにゃー!」とさっそくSNSに投稿する人があらわれています。
商品の中で注目されるのが「抱っこ猫米“にゃんこめ”」です。こちらは肌触りの良いタオル地の猫型カバーに、愛する猫さんと同じ体重の「飛騨こしひかり」(1〜5キロ)を入れてくれるというもの。この商品には、開発した「ヒダカラ」(岐阜県飛騨市)のスタッフ福田さんの想いが詰まっています。福田さんは、3匹の保護猫を飼っていましたが、商品開発中に1匹が亡くなってしまいました。その愛する猫を懐かしみ、いつでもそばに置いておけるような触り心地が良くかわいらしいものを目指してつくられたのが“にゃんこめ”です。
「“にゃんこめ”は、愛猫との思い出を鮮明に感じて、悲しみや消えることのない愛おしさに向き合うことのできるものになってほしい。猫ちゃんの重さを感じて、愛おしさと尊さをその手に感じられるものになってほしいと願いました。」(福田さん)
アレンジができるように白で作られたタオル地の猫型の袋は、お米を食べ終わったあとに、綿などを詰めて猫型クッションとして使うことができるようになっています。
愛猫と一緒に食べられるジビエ商品
飛騨で狩猟から加工までおこなうジビエ職人がつくる鹿肉のジャーキーやホロホロ煮は、人と猫が一緒に食べられる面白い商品です。鹿肉ですが鮮度の高いうちに丁寧に加工されるため無添加でも臭みが少なく、美味しく食べられるそう。
また、実際に猫に試食してもらい、食べやすい大きさに調整されています。味付けをしていませんから、猫ちゃんはそのままで。人はそのままでも美味しいですが、ジャーキーには七味やマヨネーズをつけて、ホロホロ煮は味付けするほかにサラダのトッピングとして使うのがおすすめです。
飛騨から新しい保護猫活動が全国に広がってほしい
プロジェクトの返礼品を多く開発した「ヒダカラ」の船坂香菜子さんに聞きました。
──“にゃんこめ”やジビエ商品、猫パッケージの“ぼっか煮”などを開発されましたが、こだわられたところはどんなところですか?
今回こだわった点は、
・猫好きな方に喜んでもらえること
・飛騨らしさが出せ地域の魅力が生かせること
・見た目がかわいく、価格もお手頃で、手にとりやすいこと
です。
見た目は弊社の猫愛の強いデザイナーがこだわり抜いて、猫好きな方が実際に使ってくれるシーンやロケーションを考え、製作しました。
──なるほど。もともと飛騨の特産品を開発・販売されているからこその商品になっていると感じました。
弊社は飛騨地域の生産者さんを始め多くの事業者様と繋がりがあるので、その繋がりを活かして地域の魅力であるジビエ・猫・お土産品などをベースにして商品開発しました。今回はたまたま猫コラボですが、地域の事業者さまたちの作る地域のタカラモノを地域外の方々に広めていくための一つの方法としても猫商品開発をさせていただきました。
──保護猫活動については、どのように受け止められていますか?
今まではノータッチの分野でしたが、今回のプロジェクトを通して自分たちもいろんなことをネコリパさんに教えてもらったり、調べたりしました。全国の殺処分されている猫は減ってはいるものの、まだまだたくさんいて、殺されてしまう命を増やさないために、そして人も快適に暮らしていくためには保護猫活動はとても大切なことなんだというのがはじめて少し理解できました。
今回予定されている飛騨の保護猫事業”SAVE THE CAT HIDA PROJECT”はまだこれからですが、猫の殺処分を減らすということだけではなく、高齢者の見守りや空き家の活用など、地域課題と猫にまつわる課題を両輪で進めていくという点がとても面白いなと思っています。また、非営利団体ではなくそれをビジネスとして企業がされるという点にも注目しています。
例えば高齢者が保護猫を飼うことによって毎日が少しでも楽しくなれば、それだけでまちの活気が生まれますし、少し時間はかかるかもしれないですが空き家をシェルターなどとして活用することで、飛騨のすばらしい街並みの維持にもつながればとてもハッピーです。
──課題点もありますか?
『保護猫活動の企業が入ってくると猫が増えるの?』という意見もあったので、実際は野良猫がそのままになっている方が猫が増えてしまうということを、多くの方に知っていただく必要があるのかなと感じました。
今回計画されているような様々な立場の方を巻き込んだ取り組みは、コンパクトな飛騨だからこそ始めやすいと思うので、成功して全国の似たような課題を持つ地域に広がってほしいなぁと思っています。私たちも微力ながら物販という形で協力をしていこうと思っています。
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ヒダカラの商品は、ふるさと納税だけでなく「ヒダカラ商店」で直接購入が可能です。ヒダカラ商店で購入しても売り上げの10%が「ネコリパブリック」の保護猫活動に寄付されます。
■飛騨市ふるさと納税「SAVE THE CAT HIDA PROJECT」(楽天) https://item.rakuten.co.jp/f212172-hida/c/0000000151/
■ヒダカラ商店「ネコリパブリック×ヒダカラ商店(保護猫活動コラボ)」 https://item.rakuten.co.jp/hidakara/c/0000000186/