キャラクターになりきるために絶食してボディをワンサイズ落とし、犬歯も削って尖らせた。ストイックなハリウッド俳優のエピソード!?
違う。映画『BLUE FIGHT ~蒼き若者たちのブレイキングダウン~』(1月31日全国公開)出演にあたってのGACKT(51)の驚異的役作りの話だ。
撮影10日前からファスティング
不良少年たちと抗争を繰り広げる、最凶暴走族グループのラスボス役。GACKTのイメージに寄り添ってクリエイトされたキャラクターだけに、御本人も役を飲み込むのが早かったという。
「御堂静とは一体どんな人間なのか?圧倒的なカリスマ性を持ち、何を考えているのか全くわからない男。尋常ならざる狂気を持つがゆえに感情は欠落し、もはや声を荒げたり怒鳴ったりはしない。脚本を読みながら『ボクの素に近いものがある男だ』と感じた」
マインドの準備は万端。あとは御堂静という男のヴィジュアルを作り上げるのみ。
「もう少し華奢にした方がイメージに合うと思ったから、撮影に入る10日前からファスティング。撮影期間中も水しか口にしなかった」
絶食でむしろ頭が冴える
…壮絶。まるで試合に臨む前の格闘家のよう。しかしGACKT自身はケロッとしている。
「ボクは26歳の頃から1日1食のリズムで生きているから、空腹という感覚もない。これくらいのファスティングも別にきつくは感じない。やるときは最長40日くらい絶食するから」
よ、40日間!?
絶句するこちらをよそに、GACKTは静かなトーンでその効能を説明する。
「そうそう。むしろ頭は冴えるし、集中力も上がって研ぎ澄まされる。執筆したり、楽曲を書いたりとか、籠って作業をしたいときはやっている。感情の起伏がなくなるので精神がフラットにもなる。人の動きや時間の流れも繊細かつスローに感じるので、ポーカーの大会に出る時も常にファスティングしている」
鍛錬を重ねた超人GACKTだからできることだ。
じゃあ、犬歯削ります
キャラクターの異常性を際立たせるために犬歯を尖らせたが、彼にとっては歯を削ることなど朝メシ前だ。作品をより良い方向に導くためならば。
「御堂静はアルカイク・スマイルが似合う男のはずだから、微笑んだ時に尖った犬歯が覗いた方がいいと思った。笑顔とは本来ハッピーなものだけれど、御堂静の場合は違う。笑うと怖い。製作陣の方々には撮影直前に『じゃあ、犬歯削ります』と軽くお伝えしました」
その尖った犬歯にはGACKTの高い美意識が反映されている。極端に尖らせるのではなく、あえてナチュラルな鋭利さを求めた。
「ヴァンパイアのような、これ見よがしな犬歯は違う。むしろ尖らせた歯だけが目立って美しくないし、怖くもない。ネコ科の動物がシャーと威嚇して口を開ける様子は怖いけど、サーベルタイガーはどう?歯が異様に長すぎて滑稽だろ?リアリティを確保したレベルに尖らせることが一番大事であり、エレガントさがないとダメだよ」
監督の三池崇史も、GACKTが作り上げた御堂静の人間離れしたカリスマ性を絶賛している。多くの観客にラスボスGACKTの凄みを目撃してもらいたい。