たかがキャリーバッグ、されど…来院までは嫌がっても診察が終わると一目散にバッグの中へ

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 ももちゃん(3歳・女の子)はまだ若いのですが、腎臓に軽度の異常があるために、治療を続けながら定期的に検査に通っています。

 先日の診察のとき、いつものキャリーバッグが壊れてしまい「帰りはこちらのキャリーに入れてください」と渡されたのは、院内で購入した新品のキャリーバッグ。検査が終わって、キャリーバッグの中に入り込もうと思ったももちゃん。「えっ!!キャリーが二つ並んでる」。一瞬戸惑った様子でしたが、少しにおいをかいで、こっちに入ってみようかな、と新しい方に入ってくれました。

 でもいつものキャリーバッグとはやはり居心地が違うようで、すぐに出てきてしまい、いつもの方へ入り直してほっと一息ついている様子。「やっぱり慣れているこっちの方がいいよね。でも、ももちゃん、今日からはこちらのキャリーバッグがももちゃんの移動用のお部屋になるんだよ」と、新しい方へ移動してもらいました。

 猫ちゃんは、病院に来るときにはキャリーバッグに入るのを嫌がることが多いですが、診察が終わると、一目散にバッグの中に入ってくれます。猫ちゃんにとってみたら、のんびりとくつろいでいるところを、突然狭いキャリーバッグに入れられて、慣れない場所に連れてこられ、知らない人に体を触られたり、注射されたり、採血されたりと、大変なことです。

 ですから、診察時には猫ちゃんをびっくりさせないように、キャリーバッグから出すときは様子を見ながらそっと出し、時には、入ったまま処置をするようにしています。たかがキャリーバッグ、されどキャリーバッグ。キャリーバッグは猫ちゃんのシェルターにもなる、大切なアイテムなのです。

 ももちゃんにとっても大切な場所。もともとおとなしく、診察時も、ペットホテルのときも、環境変化にも順応してくれるももちゃんですから、新しいバッグにもすぐに慣れてくれることでしょう。次回のももちゃんの様子を楽しみにしたいと思います。

◆小林由美子(こばやし・ゆみこ)獣医師。1990年開業の埼玉県ふじみ野市「こばやし動物病院」院長。米国で動物の東洋医学、自然療法を学ぶ。治療はもちろん予防やしつけなどにも造詣が深く、講演活動も行う。ペットと飼い主双方に寄り添う診療が信頼を得ている。

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