ホントにこの子の子?模様はいつ出る?ジャガー赤ちゃんの色めぐり疑問いろいろ。「黄✕黒=黒」神秘の法則

茶良野 くま子 茶良野 くま子

 真っ黒ボディに青い瞳、桃色プニプニ肉球に舌ペロまで惜しみなく披露する赤ちゃん。可愛すぎじゃないですか!? 神戸市立王子動物園で8月に誕生したジャガーの双子の虜になったのは動物ファンだけではなく公式「中の人」も同じようで溺愛ぶりを直球ツイート。毎回かなりの反響なのですが、「ホントにこの子の子?」「赤ちゃんの時は黒なんですね」「大きくなったら模様が出る?」などなど、色や模様をめぐる誤解まじりの疑問もちらほら。ジャガーの体色の秘密、新米ママの奮闘と赤ちゃんの様子を獣医師で飼育展示係長の谷口さんに聞きました。

決まって小さなお口をカパッ。実は「威嚇」だった!?

 ジャガーは中米~南米大陸中部の熱帯雨林、草原、沼地等に生息。がっしりした体つきで木登りや泳ぎが得意です。赤ちゃんはオスメスの双子で、8月18日に生まれました。父親のアトス(2009年12月11日生まれ)は全身が黒色の黒変種のジャガー。母親のネリア(2018年8月21日生まれ)は黄褐色で黒い斑紋があり、ジャガーの見本のような外見。国内では11園館で17頭(2020年末現在)が飼育されています。

―赤ちゃん可愛いですね!並び順はいつも同じ?口を開けるのが定番ポーズですね。

「確かに写真ではいつも口が開いていますね。これは実は威嚇しているんです。声は出ていなかったのですが、成長するにつれはっきり威嚇と分かるようになってきました。並び順はもちろん…決まっていません!動き回るようになり、並んだ写真はもう撮れないです。鳴き声は…『ミャー』に濁点が付いたような感じですかね」

―青みがかった大きな瞳。どれくらい見えているのでしょう。

「生後2~3週齢頃は見えていてもボンヤリしているのかなという印象でしたが、4週齢頃からは、こちらが触れる前に威嚇してくるようになったので、しっかり見えているようです」

―どんどん大きくなって。

「体重は8月25日にオス1.6kg、メス1.4kgでした。10月10日の測定ではオス5.2kg、メスは4.4kgで順調に増えています。ネリアの寝室の隅に敷き藁を入れた巣穴のような小部屋を造り、最初は授乳も含めほぼこの中で過ごしてきました。初めて外での授乳シーンを撮影できたのが9月19日のツイートです。赤ちゃんは巣穴の外に出るようになり、オリに上ろうとしたり2頭でじゃれ合ったり、母親の体を登って遊んだりと、どんどん行動範囲が広がっています」

―赤ちゃんでも「さすがジャガー」と感じることは?性格や見分け方は。

「体が小さい割に頭部や掌が大きくがっしりとしているのは、ジャガーならではの特徴です。真っ黒で分かりづらいですが、光が当たったときにはしっかり斑点模様が見えますよ。性格はまだはっきりとは掴めていませんが、メスは身体検査の最中に毎回排便するので、臆病なのかも。見た目の違いはほとんどなく、オスの方が少し体が大きい程度ですね」

黄×黄=黒にはならないけれど

―ネリアは初めての出産・育児です

「ネリアは来園時から気性が激しく、繁殖がうまくいくか心配しました。アトスとの同居当初はケンカが多かったのですが、徐々に距離が縮まっていくのが感じられたので同居を継続。お互い大きなケガもなく、ほっとしています。出産しても、子育てするだろうかという憂慮もありましたが、初産ながらも赤ちゃんに向き合い奮闘する姿を見せてくれています。ネリアはもともと人への警戒心が低いところがありますが、育児中の今は周囲を警戒しており、人が近づくと赤ちゃんを守るような動作をとります」

―黄色の母親から真っ黒な赤ちゃんが生まれました。大きくなったら色が変わるの?などという声も。「黄✕黒=黒」は当然?

「体色の決定は『メンデルの法則』に従います。ジャガーの場合、黒色になる遺伝子が優勢対立遺伝子になります。黒ジャガーのアトスの両親は『黒×黄』なので、今回は黒色も黄色も生まれる可能性がありました。ジャガーでは『黄×黄=黒』はあり得ませんが、『黒×黒=黄』は生まれます」

 コロナ禍での出産・育児。飼育スタッフらは基本的な感染防止策に加え、必要以上に動物に近寄らないよう配慮しています。それでも、成長を確認するために一時的に赤ちゃんを取り上げて身体検査をする必要があり、その際は短時間での作業を心がけました。一般公開が待ち遠しいですが、「ネリアは不安を感じた時には赤ちゃんを咥えてウロウロすることがあるため注意深く様子を見ています」と谷口さん。「みなさんに元気な親子の姿を早くお見せしたいのですが、ジャガー展示場には赤ちゃんにとってまだ危険が多く、もう少し大きくなるまで今しばらくお待ちください」。

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