1000万円を超すクルマまで…実車見ない「リモート購入」増えてます コロナ追い風、遠方のレアな車種をゲット

小嶋 あきら 小嶋 あきら

 言うまでも無くクルマは高い買い物です。人生で「家」の次くらいに高価かも知れません。そんなクルマを、一度も実際に目で見て確認しないで買ってしまう、そんなことが最近増えているようです。

「ここでしか買えないもの」を選ぶ一つの方法

 近頃は輸入車、国産車を問わず「ちょっと旧いクルマ」が人気を集めています。たとえばポルシェでは、現在の水冷モデルになる以前、1998年以前の911(964型より前のモデル)がものすごく値段を上げていますし、メルセデス・ベンツも、1990年代前半までのいわゆる「最善か無か」のポリシーで、あまりコストを気にせず作られていた時代のものが高騰しつつあります。

 新車に比べて中古車は、当然それぞれ程度にばらつきがあります。単純に走行距離はもちろん、その乗られ方や保管の状態、メンテナンスのされ方などで個々に状態が違ってきます。なので購入する場合にはまず実車を念入りに確認して、できれば試乗もして、というのが当たり前です。

 ただし中古車でも車種によって、いわゆるレアなものに関しては、それこそ全国で1台しかないとか、そういうものもあります。そしてもしそれが遠方のお店にあって、実際に見に行くことができない場合。販売店との間で念入りに確認した上で、リモートで商談を進めるということも一つの方法ですね。

 たとえばiPhoneのフェイスタイムやLINEのビデオチャットなど、そういうリモートコミュニケーションの環境が整ってきたからこその新しい流れです。そしてこれにこのコロナ禍が追い風になっている、ともいわれます。

販売店もリモート対応を充実させている

 その辺りの事情を、こだわりの輸入ユーズドカーを販売するカレント自動車株式会社の菊地さんに伺いました。

 こだわりのあるレアな車種を扱うお店だけに、もともと遠方からのお客さんも多く、リモートでの商談はそこそこあったそうです。それがさらにこのコロナ禍で、たとえばお医者さんなど、立場上県外への移動を控えたい方からの「リモートで」との依頼が増えたといいます。

 そういうことを背景に、2021年1月に「リモートCar Choice」という新しいサービスをスタートさせたところ、好調に伸びているのだそうです。

 具体的には、まずウェブサイトのフォームから必要事項や希望を入力、その後日程を調整してLINE、FaceTime、 Skype、 ZOOMなどでの商談に進みます。実際に現車を見ないで購入するわけですから、ここでの商談では詳細に念入りに、丁寧な説明をすることが大切です。その後、実際に契約して納車という流れになりますが、その際にこのリモートCar Choiceの優待として10万円値引き、もしくは納車の際の陸送料無料のどちらかが選べます。遠方の場合、この陸送料はかなり高くつきますから、有り難いサービスだと思います。

 現在、このサービスでの成約が月に2〜4件ほどあるそうです。

 クルマというのは高い買い物です。特にこだわりの輸入車となるとかなり高価なものも多いです。それだけに実際のクルマを見ないで買うのは不安もあると思いますが、リモートCar Choiceではこれまでに1000万円を超えるクルマも販売されました。これは実績に裏打ちされたお店の信用あってのことでしょう。

 比較的年式の古いものも安心して乗れるよう、事前のチェックは特に念入りにするといいます。しっかり時間を掛けた実走テストは当然のこと、洗車機を通しながらエンジンの不調が出ないか確認したり、エンジンが暖まっている時の再始動がスムーズに確実にできるかのチェックをしたり、車齢の高いクルマならではです。

 このため、納車までの期間は少し長め、一カ月ほどかかります。

 遠方からの購入ということになると、そのあとの整備なども気になるところですが、現在「Dr.輸入車ドットコム」という全国的な整備工場のネットワークがあり、たいていの地域で適切なメンテナンスが受けられる態勢になっています。もちろんガレージカレントの自社の整備工場もここに加入しています。

 いま、クルマもバイクも新車販売に関しては、正規代理店やメーカーの認定ディーラー以外では買えない、ユーザーをしっかりと囲い込む態勢が出来上がっています。この先のEV化など、より電子化が進むに連れて車種ごとに専門性が高くなって、この傾向はより強くなっていくと思われます。しかし一方で、現在のクルマにはない魅力を感じさせてくれる旧いクルマに惹きつけられる人も一定数居て、この層は減らない気がします。

 言うまでも無く旧車はもう生産されていませんから、数は増えません。希少です。欲しいクルマ、魅力的なクルマを全国から探してリモートで購入する。これからこの買い方はもっともっと一般的になるのかも知れません。

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