カップの壁を突き抜けて、大きな瞳で見上げてくる小さな赤い牛さんのついた会津本郷焼のカップの写真がTwitterで注目されました。投稿したのは福島県観光物産交流協会の公式アカウント(@fukushimatweet)。赤い牛さんは同地の縁起物として名高い「赤べこ」さんです。銘菓「あわまんじゅう」と共に投稿された、その姿のインパクトに「壁にハマって出られない赤べこ…?」と人々の関心を一身に集めました。
上記ツイートに続けて、同協会アカウントは「みなさん突き抜けてる赤べこが気になるようなので、近づいてみますね。」という文言とともに、赤べこさんをクローズアップ撮影した写真を投稿。「すごい状態なのに、可愛さが勝つ」「後ろ姿もシュール」「お茶が飲みたくて壁を突き抜けたのでしょうか?」などと、さらに魅了される人が続出しました。この愛らしいカップについて同協会アカウントの担当者に聞きました。
――赤べこさんは郷土玩具として有名だそうですね。
今から約400年前、大地震が会津地域をおそい、柳津町にある「福満虚空蔵尊圓蔵寺(ふくまんこくぞうぼさつえんぞうじ)」が倒壊してしまいました。再建に難航していたとき、どこからともなく大きな赤毛の牛が現れ、資材の大木運びを手伝ったという「赤べこ伝説」が残っています。ここから、赤べこは忍耐と力強さの象徴、さらには福を呼ぶ縁起物として親しまれ、鶴ヶ城の殿様であった蒲生氏郷が、同伝説にあやかって赤べこの張り子を作らせたのがはじまりです。
――とてもユニークなデザインのカップです。
会津本郷焼は東北最古の窯場といわれ、先程出てきた蒲生氏郷がお城の改修のために播磨国から瓦工を招き、瓦を焼かせたのが始まりといわれています。会津本郷焼には陶器と磁器どちらもあるので、窯元によって全く異なる特徴の個性豊かな作品を楽しむことができます。
――このカップの作者について教えてください。
赤べこカップの作者は陶房彩里(いろり)の馬場さんご夫婦です。「暮らしを彩るようなうつわを造りたい」という思いを込めて作品をつくられています。陶芸体験もされていますので、ぜひご夫婦に会いにお越しください。
――リプライでご自身もこのカップを使っている、とコメントされていました。胴体部分が持ち手になっているのですか?
突き出た赤べこはつまんで持つことができます。折れそうで怖いという声もありますが、焼き物は丈夫なのでご安心ください。と言いつつ私も実は心配で、折れたら悲しいのでカップを手で包み込むように持って使っています。もちろん硬いところにぶつけたら折れてしまう可能性があるので、優しく扱ってください。
――赤べこカップのお写真に反響があり、海外からもコメントが来ていました。
私もはじめてこのマグカップを見たときは衝撃的でしたが、皆さんにもこの衝撃を味わっていただけて良かったです。嬉しかったのは、このマグカップでお茶をして周りの人を喜ばせたいとか、会話がはずむだろうな、というコメントをいただいたことです。コロナ禍で親しい人とお茶をする機会も減っているので、落ち着いたらこのマグカップでおもてなししたいと考える皆さんの思いやりや優しさに感動しましたし、馬場さんご夫婦の思いも届いて良かったと感じています。
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さらに、自身の赤べこカップの使い方について「購入したのは1年前で、すでにコロナ禍でしたので、おうち時間を楽しめるとてもいい買い物をしたと思いました。私は休日の朝ご飯のときにこのカップで紅茶を飲んで、リラックスした状態で1日をスタートさせています。カップの色や形が和にも洋にも感じられ、どんなシーンにも合うと思いますので、思い思いに楽しんでいただきたいです」(同担当者)とも話してくれました。購入を検討している人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
▽陶房 彩里(いろり)
https://irori-aizu.jp
(※10月6日現在「赤べこカップ」は在庫切れ中)