ホームセンターアグロ(兵庫県揖保郡太子町)は、9月23~25日の3日間、神戸市長田区のアグロガーデン駒ヶ林店で工具展示即売会を開催した。目玉は神戸の建設業の職人を対象にした、体力と知力5種目の競技による職人さんガチバトル。「我こそは神戸最強の職人!」と、計150人が挑戦した。即売会と共に一風変わったイベントを催したホームセンターの狙いは何だろうか。
握力86kgに背筋245kg!体力自慢の職人が続々登場
『職人さんが作るイベント』がテーマの工具展示即売会は、ホームセンターアグロの恒例行事。「良いものが特売で安く買えて、直接メーカーが販売に来る」のが好評で、毎回常連客で賑わう。
そんな中、主に職人さんが出入りする資材館入口付近に設けられたのが「男気!!アグロ塾」という職人さん限定のバトルコーナー。握力、背筋力、懸垂の体力テストと、板の長さを見て当てる感知能力テスト、そして建築用語テストの5種目で合計得点を競う。優勝賞品1位の商品券5万円をかけて、事前にネット登録した職人さんをはじめ、飛び入り参加者も続々と現れた。
「握力の1位が86kgか?よっしゃ、負けへんぞ!」と仕事仲間と一緒に挑戦する人や、奥さんの前で自慢の力を披露する職人さんも。自分の結果に喜んだり、「あれえ?あかんわ」と悲鳴を上げたりと、本気で取り組む大人の姿は見ていて清々しく、時に滑稽だ。「背筋や握力の強い人は体重のある人が多いせいか、懸垂が弱い傾向が」と、担当社員も楽しそうに見守る。
ちなみに3日間での最高記録は、握力が86kg、背筋力は245kgだった。
「800円のつもりが15万円」世界一客単価の高いホームセンターを目指す
店内では、先ほどバトルに挑戦していた夫婦のカートが山盛りだ。「800円のスポンジ目当てに来たのに、15万円も買った」と笑う。以前から欲しかった通常価格17万円の商品が工具市に15万円で出ており、即決したそう。「おまけも付けてもらった」と満足気だ。
他にも工具市では、購入金額3万円につき1回スマートボールに挑戦できる企画も。アップテンポなBGMの中、入れたボールが500円から5000円の枠に収まるたび、カランカランと鐘を鳴らすスタッフたち。15万円分購入した夫婦は、5回挑戦して計1万円分の商品券をゲットしていった。
お目当てのメーカーが来店しているからと工具市を訪れた男性は、8点購入。スマートボールに7回挑戦し、やはり1万数千円分の商品券を獲得していた。
「世界一客単価の高いホームセンターを目指す」というアグロガーデンだけあって、飛ぶように商品が売れていく。店長の西村裕介さんは「重視しているのは、顧客や地域とのつながり」と話し、日頃から販売力強化に取り組んできた。特に資材館には経験と知識豊富なスタッフを置き、問い合わせにも即対応。特定の客が付くスタッフも多く、和やかなやり取りがあちこちで見られた。
今回初めての職人バトルを企画したのは、同店の勝浦芳友さんと店長の西村さん。社長の安黒千能さんも背中を押した。
競技内容は、アグロガーデンのLINEに登録する約1万5千人の職人にアンケートして決定。さらにこのアンケートを通じて「アグロはおもしろそうなことを考えている」と、認知の拡大を狙った。
顧客以外へのイベント告知は、神戸市内の建設会社に限定。法人顧客の取り込みと並行して新型コロナウイルス感染防止も考慮したが、代わりに当日参加を可能とするなど工夫した。主役である職人さんに思い出に残る体験をしてもらい、「買い物するならアグロで」とリピーター獲得につなげるのが狙いだ。
西村さんは「私たちは日本一変わったことをやるホームセンター。これからもどんどんオモロイことに挑戦します」と意気込みを語った。