先日、大みそか恒例の「ダウンタウンの笑ってはいけないシリーズ」の放送が休止されるという発表がありました。私も、一ファンとして「ほんとに、ショックだなぁ」という気持ちでいっぱいです。
数年前に一度、お上りさんの気分で相方のモモコと一緒に出演させて頂きましたが、何せ規模が違う!お弁当は和洋中10種類以上から選べるし、「隠しゲスト」が大勢いるからレギュラーと動線が一切交わらないよう、スタッフの動き方も含め相当リハーサルを重ねないと出来ないレベル。何より、舞台だった廃校の、和式しかないトイレを全て一室だけ洋式に改修してあったんです。数日かけて収録するとはいえ、まさか一番組のために水道工事までするなんて!男性マネージャーは「そんな驚きますか?」と不思議顔でしたが、女性からすればめちゃくちゃ衝撃の配慮。そんな番組ですから、コロナ禍での収録の難しさから「今年3月には休止の方針が決まっていた」というのも納得。24時間テレビだって、1年中専属のスタッフルームが設けられ1年がかりで準備するのですから。
実際、コロナ禍での番組制作は本当に困難を極めています。海外ロケが出来なくなり放送終了した番組も。私たちハイヒールが出演させて頂いている読売テレビ「あさパラS」でも、海外ロケのスタッフを派遣する会社は、ロケ手配が中心だったため「潰れそう」と悲鳴を上げています。
海外だけでなく国内ロケも大変。大型のロケ車でも人数は制限され席を空けて座り、食事も車から降りて外で取る。真夏日の野外弁当はなかなか辛いもの。収録で一般の方とお話する時もソーシャルディスタンスが必要だから画角が凄く広くなり、その分のスペースを確保しないといけないし、コンパクトにまとめる事が出来ないので間延びした感じの映像、画面になってしまう。収録が終わってもスタッフさんと「お疲れ様」とご飯を一緒に食べることもできず、広い空間にポツンポツンと座って黙々と食べるだけ。ホントに寂しい限りです。でも、このソーシャルディスタンスもコンビは“対象外”なの、ご存知でしたか?「家族」に準ずる扱いでしょうか。私なんてコロナ禍になって、モモコと週2、3回しか会わないんだけどなあ(笑)
実はコロナ禍での放送局の「ルール」って結構まちまち。私たちが出演させて頂いている通販番組「真夜中市場」は凄く厳しくて、モモコとも十分距離を取り、ゲストの芸人さんとの間には太いアクリル板があります。デモンストレーターさんとも距離があり、アクリル板もあるから「ん?何て言った?」と細かい部分が分からないまま進めざるを得ないこともありました。
しかも通販番組って、メーカーさんやバイヤーさんも来られるから、画面に映らないスタッフの数が皆さんが思っているより多いんです。でもスタジオの人数制限もあるから、先日の収録では大道具さんは外で待っていてもらう事に。かと思ったら、別の局の通販番組では“普通”の距離の番組も。結局はテレビ局ごとの基準で統一的なものがないのが原因ですが、視聴者の方々が「え?何で?」と違和感を抱いてしまうのもこういう所だな、と思います。是非、統一した基準を作って欲しいものです。
番組制作の苦しい内側ばかりを書いてきましたが、一方で、コロナ禍でいやおう無しに「配信」が始まり、ライブの生配信は当たり前のことになりました。ある若手人気コンビ2組のライブ配信は1万人が視聴したそう。実際の舞台は500人ほどしか入れない広さだったそうですから、凄く可能性を感じます。以前なら配信も「やりたい人だけ」という程度でしたが、コロナ禍で、私たち世代を含めて否応なしに「どんどんやっていこう」という動きになって来た。
海外ロケなどにすぐさま代わるものではありませんが、エンタメも新しい可能性を見つけて変わっていかなければ。そのスピードが、コロナ禍で一気に速まった気がするのです。