家庭ごみを減量するために何ができるかを考えた末、個人でコーヒーかすの回収プロジェクトを始めた夫婦がいる。1年ほど前には3週間かけて40キロを集めていたが、現在は1カ月で1トン超が集まるほどに。「コーヒーを飲んで終わりではなく、その後の物語を続けられたらもっと楽しく飲めると思う」と笑顔で回収先の喫茶店を巡っている。
京都市上京区の米国人ブルーム・ゲーリーさん(55)と、順子さん(46)夫妻。ゲーリーさんは環境問題に関心を持ち、市が算出している家庭ごみ削減量を気にするうちに「(水を切ったり、食品ロスをなくしたりする)『3キリ』には限界がある。ごみそのものをなくす努力が必要では」と考えるようになった。
コーヒーが好きで、かすには多くの使い道があることも知っていたが、「個人で再利用するだけでは量が少なく限界がある」として昨年1月、インターネット上の無料掲示板に、肥料として使う農家を募集する内容を掲載した。
5月になって亀岡市内の農家から「20キロあれば取りに行く」との連絡があったことでプロジェクトが始動。「すぐに集めるから少しだけ待って」と農家に説明した上で、市内の喫茶店を回ってコーヒーかすを集め始めた。
その後、店や常連客を通じて新しい協力先の紹介を受け、現在では上京区や北区を中心に50店舗が協力。回収協力を申し出ている店はさらに多いが、ブルームさん夫妻は「2人だけで自転車で動いているので限界があり、待ってもらっている店もある」と話す。
「回収先で生まれる交流は素晴らしいし、自宅での仕事の合間に自転車に乗るので健康にもいい。楽しさが活動の原点」と笑顔で語るゲーリーさん。「私たちだけのプロジェクトではない。多くの地域に広がってほしいし、そのための協力は惜しまない」と話している。