「出来上がりを見るまではいつも不安ですが、今年もポケットに入りますのでご安心ください。」
有斐閣六法編集部アカウント(@yuhikaku_roppou)が、9月17日に投稿した写真が大きな反響を呼びました。写真には、こちらに向かって、やや斜めに立つ男性が写っています。そのズボンの左ポケットには何と、同社刊行物である「ポケット六法」の令和4年版が!!ポケット六法がリアルにポケットに入って…!?と大反響を呼び、24日現在、このツイートには11.5万件ものいいねがついています。
有斐閣(東京千代田区・神田)は明治10年創業以来、主に法学、経済学、人文科学一般に関する書籍などを発行してきた出版社で、特に「六法全書」、「ポケット六法」などの(一年ごとの)定期刊行物で知られています。今回話題になった「ポケット六法」は基本六法(憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法)を中心に主要な法令が携帯サイズにまとめられており、創刊以来、多くの読者に日々の法律学習や仕事に必要な法令について、最新の知識を提供し続けています。
写真の投稿には「学生時代はお世話になりました」と感謝を述べる声が多数寄せられたほか、「ポケットに『収まる』とは一言も書いていないのでこれはセーフ」「うーん、法の抜け穴」などと、まるで法廷ドラマの一場面のようなやり取りもコメント欄で繰り広げられました。さらに「いやでも有斐閣さんがこういうtweetをするのって良い意味で隔世の感があります」「いまSNSで出版社に求められているのはこういうセンス!!」と賞賛の声も寄せられました。同社六法編集部ツィッターアカウントの担当者に、写真撮影の経緯をお聞きしました。
――まず「ポケット六法」の基礎情報、創刊した年や、大きさ、重さなどの仕様について教えてください。
1978年11月刊行の昭和54年版が最初です。話題になったツイートをした9月17日に発売された、現在刊行中の令和4年版で、だいたいのサイズが縦19cm×横13cm、厚さ4.5cm、ページ数は2100ページ、重さは910gとなっています。
――まさか「ポケット六法」を本当にポケットに入れるとは驚きました。
大もとをたどると弊社営業部のアカウント(@YUHIKAKU_eigyo)が「ポケット六法をポケットに入れる」というツイートを過去に何度かしていたのがきっかけです。六法アカウントでも同趣旨のツイートは初めてではなく、2年前にも行っていました。その際もご覧いただいた方に好評のようでしたので、PRもかねて「ポケット六法令和4年版」の発売日当日というタイミングで、再度ツイートしました。
――確かに「令和2年版」だけでなく「昭和64年版」もポケットに入れて写した写真を過去に投稿されていますね。話題になった、最新の「令和4年版」撮影時のエピソードについて教えてください。
今回は後輩にモデルになってもらい、お昼休み明けの短時間で会議室で撮影をしました。ポケットに収めるために後輩も試行錯誤していましたが、撮影は楽しんでいた(はず)です。
モデル本人は、「その日の夜に大学時代の友人達から連絡があり、反響に気づいてとても驚きました。胸から下だけでも有名人になれたような気分で嬉しいです。」と話しています。
――今回の投稿に大きな反響がありました。「これで入ったとは、許されない拡張解釈(笑)」などと、投稿への解釈(コメント)も寄せられています。
たくさんのコメントも少しずつ拝見してますが、法律に絡めてコメントをされる辺りはさすがポケ六ユーザーだな…と。私も学生時代ポケ六ユーザーでしたが、法律はからっきしなのでご覧いただいた方へ上手い返しができないことが残念でなりません…。まあ、どう解釈しようとポケットに入ってますよね(笑)。これをきっかけに、「ポケット六法」を法学部生だけではなく、すこし法律に興味を持った方にも手に取っていただければありがたいです。
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さらに続けて、本書について以下のようにも話してくれました。「実生活において、『法律(条文)を確認する。』ということは滅多にないことかもしれませんが、無ければ不便が生じてしまうこともあるわけで、ポケット六法がそうした不便を埋めるための気軽なツール(インフラ)として、様々な方が手に取って、自由にご覧いただければいいのかな、と考えております」(同担当者)。いつ、なんどき、法律の知識が必要になるか分かりません。これを機に「ポケット六法」を一冊、手元に置くことを検討してみても良いかもしれませんね。