――昭和カルチャーそのままではなく、オリジナル要素を加えた「ネオ昭和」を発信するようになったのはなぜですか?
【阪田さん】昭和カルチャーにハマった当初は、ただ昭和っぽい服を着たり、レコードや喫茶店のマッチを集めたりするだけでした。でも、そういうことを続けていくうちに、これってただの「昭和のコスプレ」でしかないのではと考え始めたんです。
「昔のものを真似するだけ、スマホの中に収めるだけではもう満足できない!」って。昭和カルチャーが好きなことも「私らしさ」ではありますが、同時に、私は平成生まれの女子でもあります。
そんな自分だからできる「“自分らしいレトロ”を追求したい!」と思うようになりました。だから、メイクは今風のものにしたり、ギャルっぽいアイテムも取り入れたりと、「昭和レトロ」だけにこだわらず好きなものをどんどん取り入れるようにしました。
大学1年生の時、自分らしさを取り入れた新しい昭和カルチャーを「ネオ昭和」と名付けて、「みんなも自由に楽しんでみて!」という気持ちで、もともとやっていたSNSでもどんどん発信するようになりました。
――ここ数年の「昭和レトロブーム」についてどう感じますか?
私としては、自分が好きなものにみんなも興味を持ってくれていて嬉しいです。ただ、「ブーム」はいつか終わってしまうものなので、こんなに素敵なカルチャーが消費されてしまったら寂しいです。
今はInstagramやTikTokなど、誰でも自分の好きなものを発表できる場が沢山あります。そこでみんなが好きなものを発信し合って、同じもののなかでも少しずつ自分らしさという違いを出していくことで、どんどん新しいものに作り変えていけるんじゃないかと思います。そういう環境がある限り、もうしばらく「レトロブーム」は続くと思うし、「レトロカルチャー」の楽しみ方はまだまだこんなもんじゃないでしょと思っています。
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10代、20代の若者は、親世代との関わりやSNS、メディアの影響で昭和文化に触れるきっかけがたくさんあるため、レトロカルチャーに興味を持ち、憧れるのは自然なことなのかもしれない。ただ憧れるだけでなく、そこに自分の解釈やアレンジを加え発信するという、Z世代ならではの自由な楽しみ方で、「レトロカルチャー」はただ消費されてしまうだけの一過性のブームにとどまらず、まだまだ新しいものに作り変えられていきそうだ。
(まいどなニュース/ラジオ関西特約・村川 千晶)