「情けは人のためならず」本来の意味ちゃんと知ってる? 正解率は45.8%

「ふるさと納税」は納税者の痛税感を和らげる役割

北御門 孝 北御門 孝

「情けは人のためならず」の意味についての「国語に関する世論調査」がある。(文化庁)本来の意味はご案内の通り「人に情けを掛けておくと、巡り巡って結局は自分のためになる」であり、誤りやすい意味として「人に情けを掛けて助けてやることは、結局その人のためにならない」というものがある。

世論調査の結果では正解45.8%、誤答45.7%とほぼ同じ割合であった。これは平成22年度の調査ということで残念ながら少し古いデータであり、その後が気になる。60歳以上では正解の方が多く、主に若い世代で誤答しているので、もしかしたら逆転しているかもしれない。この言葉は「最も奉仕した者は最も報われる」という米国の実業家アーサー・シェルドンの言葉とも本来は通ずるものだ。

もう一つ、これは国語の世論調査とは違うのだが、「天上天下唯我独尊」(てんじょうてんげゆいがどくそん)の意味をご存知だろうか。お釈迦様が生まれてすぐに7歩歩いて言われた言葉とされているが、「世の中で、ただひとり私だけが尊い」という驕り自惚れた意味ではない。「すべてのひとが世の中に唯一の存在であり、すべてのひとのいのちが尊い」といった意味である。少なくとも仏教の世界ではそのように解釈されている。多様性を認める社会に通じる考え方だ。

上記の例とは全く逆で昔から変わらずに使われている言葉もある。例えば「年貢の納めどき」である。「年貢」ではないが、今でも税金は「おかみ」から召し上げられるものだという感覚が残っていないだろうか。

いわゆる納税意識が低いのではないかと言われるが、これには税金の資金使途についての不満、政治不信などの影響もあるだろう。また、制度の問題点として所得税は直接税であるが給与からの源泉徴収で強制的に控除されているのに対し、消費税は間接税であるが買い物の際に納めることを自覚することによって痛税感(納税することのキツさ)を強く感じることがある。(特に税率10%になってから)間接税のほうが直接税よりも納税の意識を感じるという矛盾した状況が生まれている。

ただ、さすがに現下の社会保険料+所得税+住民税が給与から天引きされることに対しては、痛税感を感じざるを得ないのではないだろうか。それを和らげようとするせめてもの抵抗が「ふるさと納税」ではないか。2020年度の総額は6725億円と前年の1.4倍に膨れ上がり過去最高を記録したそうだ。これは実際には「納税」ではなく、自治体への寄付である。

簡単にいえば自分が選んだ地方自治体へ寄付することによって、住所地のある地方自治体への住民税額から税額控除することができる。さらにはご存知のとおり寄付した先の自治体から返礼品を受け取ることができる制度だ。過度の返礼品が批判を集めたことは記憶に新しい。一昨年から返礼品は寄付額の30%以下に抑えるように定められた。

この制度自体に対しての批判があることは知っている。各地方自治体の財源の確保を考えると近い将来に継続不可能となるかもしれない。しかしながら、返礼品が地元(寄付先)の産物であれば地場産業への経済効果も期待できるだろうし、なにより納税者の痛税感を少しでも和らげる役割も果たしている。けっしてメリットの全くない制度とは私は思わない。

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