京都の暑さって全国トップ級? めっちゃ多い猛暑日、でも40℃超えない理由は

辻 智也 辻 智也

 ―夏は世に知らず暑さ(夏は途方もなく暑いのが良い)。千年前、清少納言は、京都の夏をこうたたえた。現代の京都もとにかく暑い。「蒸し風呂」のようだと言われる京都の暑さは、どれほど苛烈(かれつ)なのか。

猛暑日の数、47都道府県庁所在地でトップ

 京都の酷暑を如実に示すデータがある。気温35度以上の「猛暑日」の年間日数(2010年代平均)は、京都市中京区で23・8日。

 47都道府県庁所在地のトップで、国内最高気温41・1度の記録を持つ「暑さ日本一」の埼玉県熊谷市と並び、2位には甲府市(23・3日)が続く。同じ大都市では、5位大阪市(17・6日)、6位名古屋市(17・5日)を引き離す。

8月の平均気温もトップ、「暑さ日本一」熊谷より高い

 また、8月の平均最高気温も33・7度で、大阪市と並んで47都道府県庁所在地の1位だ。こちらは熊谷市の32・3度を上回り、京都市も「日本一暑い」と言えそうな気がする。

でも40度を超えたことはない、その理由は

 しかし、京都市の観測史上最高気温39・8度は、全国約840観測点の上位20位に入らない。1位は埼玉県熊谷市と浜松市の41・1度で、甲府市40・7度や名古屋市40・3度などが続く。普段は全国トップ級に暑い京都市が、40度を超えないのはなぜなのか。

 京都地方気象台によると、「京都周辺の山が低いから」だという。京都市や熊谷市、甲府市が最も暑くなるのは、山越えの際に空気が高温になる「フェーン現象」で暖気が流入し、さらに盆地で滞留して日射で熱せられる時だ。

 フェーン現象は、空気が下降すればするほど温度が上がるため、関東や中部地方より山が低い京都市は、気温の上昇幅が小さくなるという。

「蒸し風呂」かというと実は

 一方、暑さを感じる指標は気温以外に「湿度」や「風」がある。同じ気温なら湿度が高いほど暑く感じられ、熱中症の危険も高まる。「蒸し風呂」と言われる京都市の8月の平均湿度は66%。

 全国でも高い部類かと言うと、実は他都市に比べて低い。8月の平均湿度は彦根市73%、神戸市71%、東京都74%で、いずれも京都市より蒸し暑いことになる。

気象台職員「暑いけど、京都はそんなに蒸し暑くない」

 各地の気象台勤務を経験した京都地方気象台職員の感覚では、「確かに京都は非常に暑いが、蒸し暑さは他の土地の方が感じられる」という。ただ、盆地の京都市は他都市に比べ、風が弱い。風速が1メートル大きいと体感温度が1度下がるといい、「まとわりつく厳しい暑さを感じるのでしょう」(気象台)という。

山さえ高ければ、暑さ日本一だったかも

 山が低いのに、常に全国トップ級の酷暑の京都市。もし、比叡山や愛宕山が、「枕草子」の名場面で語られる中国・香炉峰(約1500メートル)級なら、清少納言もびっくりの「暑さ日本一」だったかもしれない。

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