全国の自治体で非常勤の職員が増えています。非常勤とはパートタイムや契約社員で働く人たちのこと。常勤の職員と同じように仕事をしながら、どこか下に見られているということも少なくありません。総務省が行った調査によると2016年4月1日現在、全国に64万3131人の「臨時・非常勤」の職員が働いているそうです。そして気になる賃金は、正職員の初任給を基準にしてその報酬より若干低く設定されています。
非常勤にはメリットもあるけれど
非常勤のメリットは定時で終業できることが1番に挙げられます。子育てや介護など家庭の事情に合わせて働けるので多くの女性が働いています。同じように有給も取りやすいです。近年では、非常勤にも賞与が支給されることになり金銭面的にもサポートされるようになってきています。
一方、非常勤のデメリットは雇用契約がいつ終了するかわからないことです。実際1年や半年契約などのことが多く、面接や筆記試験などの採用試験を毎年クリアしなければ在籍し続けることができません。そのため、「もしかしたら収入が断たれるかも」といった不安を抱えながら仕事をし続けることになります。
非常勤と正職員の狭間
私の友人Hさん(30代・事務)の話を紹介したいと思います。Hさんは地方自治体で非常勤として働いています。入庁するとき、幼い子どもの子育て中だったこともあり、定時で終業できることや休みを取りやすいことにメリットを感じていたそうです。
しかし、現在は業務内容についてたまにモヤモヤとしてしまうとHさんは言います。「業務内容は正職員とあまり変わりないのに、さらに雑用もやって当然のように言われるの」と話しはじめました。「誰かがやればいいなら私がやろう」と始めたコピー用紙の補充やポットのお湯、コーヒー・お茶の補充などの雑用。しかし、いつのまにかHさんがやらないと正職員から「やってください」と言われるようになったそうです。
その後、業務内容も簡単な事務作業からだんだんと正職員と同じ仕事をやるようになっていったそうです。一番悔しかったのは来客対応しているときに、「非常勤じゃなく正職員を出せ」と言われたときだと話します。
「確かに定時で終業できるし、有給も使いやすいの。でも正職員と同じように働いて、給料は新卒より下。なら、正職員目指してみようと思ったんだ」
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正社員雇用の募集枠は自治体によりますが近年40歳まで拡大されています。今まで就職活動時に新規雇用が少なく、正職員を諦めていた年代の人たちが正職員を目指せるようになったのです。Hさんは現在、正職員採用試験に向けて猛勉強中です。