「市長への手紙」何通届いてる? 本当に市長が読んでるのか? 京都市に聞いてみた

どなどな探検隊(パートナー記事)

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 「京都市の市長への手紙は、どれくらいの数が届いているのか調査していただきたい」。京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」のLINE(ライン)に京都市内の高校生から投稿が寄せられた。「市長への手紙」は、京都市民が書面やインターネットで市長に意見を届けられる仕組みだ。市役所に何通届き、だれがどのように処理しているのか取材した。

 投稿したのは、京都先端科学大付属高2年の仲一朔さん(16)=上京区。仲さんはこれまで、生理用品を買う経済的余裕がない女性の「生理の貧困」問題に取り組むよう提案するなど、市長への手紙を10通以上送ってきた。しかし、「そもそも市民からどれくらいの手紙が送られていて、市政にどう反映されたのかが分からない。市のホームページにも手紙の内容と回答が掲載されているが、ごく一部ではないか」と疑問を抱いていた。

 担当する市長公室広報担当に聞いた。「市長への手紙」は1993年に始まった制度で、市民の率直な意見や要望を市政に反映させるのが狙いだという。手紙は、区役所や京都市営地下鉄の主要な駅に配置している専用封筒、市ホームページ内にある入力フォームで受け付けている。

 市は、届いた「手紙」をどのように扱っているのだろうか。まず市長公室広報担当の職員が読み、市バスや地下鉄、道路、動物園などの分野別に所管する担当課に割り振る。同時に、職員が市長にも手紙の記載内容を報告するという。

 さらに、担当課が回答を書いた後、広報担当がその内容をチェックする。回答は、文書や電話だけでなく、投稿者と面談で伝える場合もあるという。

 市のHPには現在、50余りの意見や提案とその回答が公開されているが、掲載する基準はあるのだろうか。広報担当は「公表することで市民に有益かどうかを判断して載せている」と説明した。

 隣接する亀岡市も、同名の「市長への手紙」制度を設けており、19年度は105通、20年度は138通と「手紙」の数をHPで公表している。だが、京都市は届いた手紙の数をHPなどで明らかにしていない。実際に1年間に届くのはどれくらいの数なのか。

 広報担当に問い合わせると、2019年度は2785通だったが、新型コロナウイルスの感染が拡大した20年度は7750通と2・7倍に急増した。京都市の広報担当は「届いた数の公表は考えたことがなかった。お尋ねいただければ今後はお答えするし、公表も検討したい」とする。

 過去2年間に届いた手紙の数について、投稿者の仲さんは「市民からの提案や意見はもっと多くてもいいはず」と指摘し、「市長への手紙という制度自体を知らない人も多い。『市民しんぶん』で紹介して、市民の市政への関心が高めてほしい」と提言した。

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