飲食チェーン「餃子の王将」を展開する「王将フードサービス」(京都市山科区)が3月19日から販売を始めた「にんにく激増し餃子」(6個297円)が好評だ。通常の2倍以上の青森県産ニンニクを使っており、販売開始から2週間で、売れ行きも好調だという。そこで、餃子の王将歴38年、通算1万個は食べていると自負する筆者がノーマル餃子と食べ比べてみた。
ガブッとほおばると口いっぱいにニンニクの風味が広がった。思わず、そう来たか、とにやついてしまうほど。「第3の餃子」として新登場の「にんにく激増し餃子」は通常の2倍以上のニンニクを使っているそうだが、そのストロング度は予想以上。2019年に発売された「にんにくゼロ生姜餃子」には見向きもしなかった筆者も、食べ比べをしてみて、これはノーマル餃子(6個242円)の強力なライバルになると確信した。
というのも餃子の王将と筆者との歴史は結構長い。始まりは大学生活と同時。だからかれこれ38年になる。当時、京都に住む貧乏学生”あるある”のひとつが餃子の王将無料サービス券のありがたさ。全店共通と店舗ごとに使える2種類が茶封筒に入れられ、大学の正門などで不定期に配布されていた。まずは近場で共通チケットを使用。それを使い果たすと原付バイクに乗って、遠くの店に遠征したものだ。帰りはなぜか決まって雨だった。
その後、社会人になってからも餃子の王将との深い関係は続く。関西一円はもちろん、出張や転勤で札幌、東京、名古屋、福岡などに行っても、よくお世話になった。オーダーするのはだいたい餃子定食+餃子1人前、もしくは回鍋肉+ごはん+餃子2人前。これを間違いなく月2回はいただいており、ざっと手元で調べてみたらトータル1万個は食べている計算だ。恒例のスタンプカードでは毎年のように会計7%引きのプレミアム会員カードをゲット。景品のラーメンばちや餃子用の小皿は食器棚に所狭しと並んでいる。
で、この「にんにく激増し餃子」は発売開始から2週間あまり。実際、評判は上々のようだ。本社の広報担当からも喜びの声が上がった。「40代から50代を中心に幅広い層に、ご好評いただいています。わたしたちも力を入れており、今後、第3の餃子がどのように推移していくのか楽しみです」
もちろん、餃子の王将にとって、餃子は看板商品。1日の売り上げ200万個とも言われ、王将の魂とも言える存在だけに豚肉、キャベツ、ニラ、ニンニク、生姜、小麦粉といった主要な食材はすべて国産だ。おいしさの秘密はこんなところに隠されており、なかでもニンニクと小麦粉は仕入れ先や産地にまでとことんこだわっている。
まずニンニクは高品質の青森県産。雪の下、厳しい寒さに耐え、甘さをたっぷり蓄えた後、6月ごろに収穫されたものを使用しているそう。また小麦粉は北海道産で、豊かな風味が最大の特徴。粘りも強力で、むちっとした食感の餃子の皮に仕上げるには高度な水分管理が必要不可欠だとか。確かに40年近く前の学生時代に食べた餃子もおいしかったが年々クオリティーが高くなっているのは間違いない気がする。
そんな中、今回、餃子のメニューに「激増し」を加えたのはなぜか。広報担当は「コロナ禍の状況で日本は疲弊感が漂う中、人々の心も沈みがちなので、ニンニクを2倍以上増量した餃子で元気を取り戻してほしいと願ってのものです」と話す。餃子は栄養バランスに優れ、スタミナがつくとも自分でも信じており、激増し餃子を食べた日はパワーがみなぎったように思えた。しかも、ニンニクのマイナス面とされるにおいも、コロナ禍によりマスク装着が浸透しており、和らげてくるのもありがたい。
王将側も「自宅での食事の機会が増えたり、マスク着用の習慣化でにおいへの抵抗感が減っていると思いますので、幅広いお客様に食べていただけることを期待しています」と話す。
こう書いていると、餃子が頭に浮かび、食べたくなった。そうだ。スタンプカードのゴールも近い。