「天井から子猫が降ってきた!」大学院の研究室で起きた予想外のハプニングに「僕らは猫ちゃんと学生実験してたのか」

はやかわ かな はやかわ かな

「鉄鋼リサーチセンターの天井が抜けて、子猫が降ってきました!!」。そんな驚きのメッセージと写真をツイッターに投稿したのは、「九州大学 大学院 工学研究院 材料工学部門」(福岡県福岡市)の公認アカウント、学科長のつぶやき@九大材工さん(@zaikobumoncho)。そこに写っていたのは、見事に抜け落ちた天井と、2匹の小さな子猫。

予想外の出来事に驚きつつも、子猫たちの保護を目指して、四苦八苦する学科長のつぶやき@九大材工さんたち。材料工学をメインとしたいつものツイートとは異なる一連の猫ツイートに、学生さんや猫好きさんたちから驚きと羨望のリプライが殺到しました。

「大雨警報出てるのに猫が降ってくるなんてw」
「親方!空から女の子・・・じゃない、天井から子猫が!」
「学科長ぉー、空から仔猫がぁー!w」
「なにそれうらやましい」
「僕たちは、ねこちゃんと学生実験をしていたのか笑」
「<材工の発見>よりも<猫達の発見>の方が圧倒的に話題になっている」
「先生!ここで宣伝するんですよ!九大材工の魅力を宣伝してください!」

子猫が天井から降ってきた現場は「九州大学 大学院 工学研究院 材料工学部門」の研究施設「鉄鋼リサーチセンター」。学科長のつぶやき@九大材工さんたちはまず、天井から降ってきた2匹の子猫を段ボール箱に入れて保護します。

その後、親猫の姿も発見。しかし周囲を警戒し、母猫はなかなか子猫たちに近寄ってくれません。

ようやく親猫が2匹を連れ戻しに来てくれた……と、ほっとしたのも束の間。今度はリサーチセンターの片隅に、3匹目の黒い子猫が!

ほどなくして、黒猫も母猫と合流。猫たちの無事を心配するリプライに、「天井から落ちてきたネコたちの怪我を心配される方が多いですが、見たところ4匹とも元気ですね」と、返信する学科長のつぶやき@九大材工さん。

子猫が小さいうちの親猫は、家猫でもかなりナーバスになることがあるのだとか。警戒心の強い野良猫ならなおさらです。親猫が子猫に危害を加えてしまうという可能性もふまえ、ひとまず様子を見るため、猫の親子はリサーチセンター内の「学生実験室」で保護されることになりました。

そして翌朝。学科長のつぶやき@九大材工さんは、「今朝見たらいなくなっていました。きっと親子一緒に新しい住処を探しに旅立って行ったのでしょう」と、ツイート。投稿された写真には、猫たちの痕跡だけが残されていました。

『天空の城ラピュタ』の台詞、「親方!空から女の子がっ!」をもじったリプライもありましたが、「天井から突然降ってきた子猫たち。そして翌朝、忽然と姿を消した猫の親子」という、まさにアニメのプロットさながらの今回の出来事について、学科長のつぶやき@九大材工さんにお話をうかがいました。

猫たちに感謝!です

__予想外の出来事でしたね。

「実はリサーチセンターの天井に猫がいたのは、今回が2回目なんです。前回も同じ部屋だったのですが、場所は少し離れた天井裏でした。子猫の鳴き声がずっと止まなかったので、心配になってのぞいてみたら、生まれたばかりの子猫が放置されていたため、保護しました。その時の子猫たちは無事に引き取り先が見つかって、今も元気にしています」

__なんと!2度目の天井から子猫、だったとは。

「ただ、今回は猫の鳴き声は聞こえませんでした。天井が抜けることがなければ、今回は気づいていなかったでしょうね。もともとこちらの天井はそれほど丈夫な造りではなく、少しずれてるところもあったようです。そこに猫一家が乗ったので、外れて落ちてきたのでしょう」

__今回も猫たちの保護を検討されていたんですか?

「前回はツイッターもしていませんでしたので、飼い主を探すのには苦労しました。しかも、目も開いていない生まれたばかりの子猫でしたので、24時間面倒を見続ける必要がありました。発見当日は、学生が徹夜で面倒を見てくれましたが、仕事をしてる人が飼うのは難しいかと思います。

それとくらべれば、今回はツイッターで呼びかけもできますし、生後しばらく経っていたようですし、しかもかなりかわいい猫でしたので、もし親猫に置き去りにされたとしても、すぐ飼い主は見つかるだろうと思いました」

__「ネコに気を取られてあまり意識していなかったけど、『鉄鋼リサーチセンター』の名前が全国に知れ渡ったってこと!?」とツイートされていましたね。学生さんからも、「九大材工の魅力を宣伝してください!」というリプライがありました。

「バズったツイートに余計なツイートをくっつけるのは好きではないのでやりませんでしたが、材料工学は全ての工学に繋がる重要な学問分野です。また、高校・大学を連携した教育にも力を入れています。高校生にもぜひ、材料工学について知ってもらいたいです」

__今回の一件で、猫好きさんたちからも注目を集めています。

「本アカウントは、九大に入学した1年生や、近隣の高校生に<材料工学>という学問をPRすることを目的に開設したものです。

なので、猫目当てのフォロワーさんが増えても正直嬉しくはないのですが、2回立て続けにバズったことで(前回は5月7日)、学内の学生の間では、本アカウントの知名度、すなわち<材料工学科>の存在感は非常に大きくなったと思います。それについては、今回の猫騒動は良かったと思える出来事でした」

__その意味では、招き猫だったのかもしれないですね。

「そうですね。仰るとおり、招き猫だったのかもしれません。猫たちに感謝!です」

抜けた天井はすでに元通りに修繕されたそうですが、天井裏については、「建物はオートロックなので夜は入れません。天井裏もそもそも人が入る仕様になっていないので隙間もないはずなのですが。ネコだけが知っている秘密の出入り口があるのかもしれません」とツイートされていた、学科長のつぶやき@九大材工さん。

その後、「鉄鋼リサーチセンターの屋根裏を調べてもらったところ、エアコンのダクトを通す穴があり、そこがネコの通り道になっていたようです。少々ためらう気持ちもありますが塞ぐことにします」と、ツイート。

「子猫が降ってくる夢のような研究室」に憧れた方には大変残念ですが、野良猫を増やさないためにも、侵入が可能なスペースは厳重に塞がれることになりそうです。

今回の一件について、「野良猫を見かけたら保護団体に連絡を」といったリプライも寄せられていました。しかし、鳴き声もなく子猫が降ってくるなど、まったくの予想外。さらに発見から失踪までわずか1日足らずという、あっという間の出来事でした。

それでも、九大材工の皆さんは猫たちの安全を第一に考え、多忙であるにも関わらず、子猫たちの引き取り先を探された前回と同様、今回も寛容かつ、できうる限りの誠意ある対応をされていました。

また、学校側も今後の対策として、すでに施設内の点検等をしっかりと行っておられます。

「九州大学 大学院 工学研究院 材料工学部門」では、公認ツイッターのアカウントでも、専門的なことから学生生活の悩みまで、さまざまな声に真摯に向き合っておられます。

そんな教育熱心な先生方とともに、学生のみなさんにはぜひ、猫が招いた幸運の場所で、最先端の研究に取り組んでいただけたらと願っています。

■九州大学材料工学部門

■九州大学鉄鋼リサーチセンター

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