3年の眠りについた「南海本線・高師浜線」 1.5キロの路線なのに「キャラ」が濃い!?

新田 浩之 新田 浩之

大阪府高石市を走る南海高師浜線(羽衣~高師浜)が南海本線・高師浜線の高架化事業に伴い5月22日から約3年間に渡り、休止することになりました。休止期間中は代行バスが運行されるため、沿線住民の足は確保されます。休止前に南海高師浜線を訪れました。

高架化工事の工期短縮などを目的に運行休止

高師浜線は南海本線の接続駅である高石市の羽衣と高師浜を結ぶ全長1.5キロのミニ路線ですが、中間駅に伽羅橋(きゃらばし)駅があります。開業は1918(大正7)年。もともと海水浴場へのアクセス路線などを目的に建設されたのがはじまりです。現在は2両編成の電車が羽衣~高師浜間を往復し、沿線住民の足として親しまれています。

南海では高石市において南海本線・高師浜線の連続立体交差事業(高架化工事)を進めてきました。2016年に南海本線下り線(和歌山市・関西空港方面)が高架になり、2021年5月22日に南海本線上り線(なんば方面)も高架になります。

高師浜線の高架化工事の工期短縮や早期の踏切除去を目的に、5月22日から約3年にわたり同線の運行はとりやめに。電車の代わりに代行バスが運行されます。

代行バスは(代行)羽衣駅~(代行)高師浜駅間で運行し、途中に(代行)伽羅橋(北)駅と(代行)伽羅橋(南)駅を設けます。(代行)伽羅橋駅は府道堺阪南線、(代行)高師浜駅は府立臨海スポーツセンター敷地内に設けられるため、鉄道駅からは少し離れます。

(代行)羽衣駅~(代行)高師浜駅間の所要時間は約15分となり、運行本数は基本的に鉄道の本数に準じるとのことです。

2両編成の電車がのんびりと走る

高師浜線は2番ホーム(南海本線なんば方面)の南隣にある3番ホームから出発します。しばらくすると2両編成の電車がやってきました。高師浜線で活躍する電車はもともと高野線で活躍し、ワンマン化改造を受けたもの。のんびりと1.5キロの路線を走っていました。

羽衣駅を出発するとしばらくは南海本線と並走し、やがて右へカーブ。高架線に入り、伽羅橋駅に着きます。駅名は旧紀州街道にあった伽羅橋に由来。昔は古代朝鮮の加羅から渡来した人々が居住していたと言われています。

一見すると1面1線の何の変哲もない高架駅ですが、レトロなベンチのせいか、しぶい味を出しています。

羽衣駅を出発してわずか3分で終着駅の高師浜駅に到着。電車は再び羽衣駅へ戻っていきました。

高師浜駅の駅舎は開業当時のままで、とてもエキゾチック。入口付近には美しいステンドグラスが見られます。高師浜線は海水浴場へのアクセス路線とは別に、沿線の住宅開発に合わせて開業した経緯もあります。

エキゾチックな駅舎は静かに沿線や南海電車の歴史を今に伝えています。鉄道輸送が再開される3年後はどのような表情になっているのでしょうか。

過去には新線の建設のために廃止になった路線も

高師浜線は高架化のために約3年間の休止期間に入りますが、過去には新線の用地確保のために廃止になった南海の路線があります。それが1993(平成5)年に全廃となった南海天王寺支線です。

天王寺支線は天王寺と天下茶屋を結ぶ全長2.4キロのミニ路線でしたが、1984(昭和59)年に大阪市営地下鉄(現大阪メトロ)堺筋線の用地確保のために、今池町~天下茶屋駅間が廃止。1993年には堺筋線などの周辺交通の発達の影響を受け、残り区間も消滅しました。

個人的には天王寺支線とは異なり、高師浜線が生き残ってホッとしています。羽衣駅の高架化に伴い高師浜線はどのように変化するのか、どのような点が残るのか、3年後を楽しみにしばらく待つことにしたいと思います。

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