ついつい気分が落ち込みがちになるコロナ禍の日々。画面の向こうで輝くアイドルたちを見て、元気をもらっているという方は多いのではないでしょうか?
「アイドルって職業、本気で有難いし尊い」
この言葉をTwitterに投稿したのは、学生時代に日テレジェニックやシューイチガールズに就任し、芸能活動の経験を持つ医師の木村好珠さん(@konomikimura)。
精神科外来で働く木村さんは多くの患者さんを診察する中で、コロナ禍においてアイドルが社会に与えている元気や活力の大きさを実感したといいます。
このツイートを見たSNSユーザーたちからは、
「推しのこと考えるだけで、笑顔になる。免疫力上がってると思う。」
「推しの力は偉大。アイドルに限らず推し活できる環境大事。」
「キラキラしてる推しの姿見てるだけで心が軽くなったり楽しくなったり幸せになったりするもんね。」
など、共感のコメントが多数寄せられています。
コロナ禍におけるアイドルの尊さとはどのようなものなのでしょうか。木村さんに直接お話を伺いました。
青島ほなみ(以下「青島」):精神科医として働かれている中で、アイドルの力を実感したエピソードを教えてください。
木村好珠(以下「木村」):精神科の患者さんからは「アイドルのライブが楽しみだから、頑張れている」といった話をよく聞くんです。「かっこいい」「歌が素敵」などはもちろんですが、「アイドルの生き方や考え方に共感した」「生きる気力をもらった」といった話を聞いて、内面的な部分にも影響を与えているんだなと実感しています。
青島:「アイドルって職業、本気で有難い」と投稿されていますが、そのように感じるのはなぜなのでしょうか?
木村:うつ病・不安障害などの病気は、医療でもまだまだ未解明な部分が多く、治るのが難しい方もいらっしゃるんです。そんな中、私たち医師が薬や診察でまかなえないものをアイドルがまかなって、患者さんの栄養になってくれていると感じています。
青島:ご投稿に対し「アニメやスポーツでも同じように元気をもらっている」という声もありましたが、今回特にアイドルについて言及された訳をお聞かせください。
木村:患者さんには「趣味を持ってください」と普段から話しているのですが、その中でもアイドルは特におすすめできる趣味なんです。SNSでファンアカウントを作って仲間ができたり、ライブ現場で友達と交流したり、「推し」という共通の話題があることで、口下手でもコミュニケーションを取りやすいんですよね。また、目標に向かって努力しているアイドルの姿を見て自らも積極的になれるなど、メリットは沢山あると思います。
青島:木村さんは1人にしぼらず何人か好きなアイドルを作るよう、応援の仕方についても言及されています。この意味について詳しくお聞かせください。
木村:アイドルには卒業やスキャンダルがあるので、一人だけに熱中していると何かあった時、心がボロボロになってしまう人がいるんです。なので、「箱推し(グループ全員を推すこと)」するなど興味を分散させることが大事だと思っています。もちろんアイドルだけでなく、歌手でもスポーツ選手でも、色んなことに興味を持っておくと安心です。
私は芸能の仕事を通じてアイドルと交流することがあり、アイドル自身の様々な悩みを耳にすることがありました。例えば「他にも推しがいる」とファンに言われたことで、本当に傷ついてしまうアイドルもいるはずなんです。個人的には、推しが沢山いてもいいけど本人には隠してあげてほしい、と思っています。アイドルもファンも支え合っている関係なので、お互いのメンタルの為にも意識してみてくださいね。
▽木村好珠(きむらこのみ)プロフィール
東邦大学医学部卒。慶応義塾大学病院にて研修後、精神神経科に進む。精神病院で常勤医をした後、現在は都内及び静岡のクリニックで勤務する傍ら、産業医、健康スポーツ医として活動。子供から大人までスポーツを通じたメンタル育成、アスリートや経営者などのメンタルアドバイスを行なっている。
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木村さんの投稿には、現役アイドルからの共感も多くあったといいます。筆者も熱中しているアイドルがいますが、「推しだけを好きでいてあげたい」、はたまた「ハマり込んで辛くなりたくない」という両極端の気持ちがあり、アイドルとファンそれぞれの思いが痛いほど分かるお話でした。皆さんも推しとより良い関係を築いて、人生をもっと豊かにしてくださいね!