2016年4月から正式に制度化された小中一貫校・義務教育学校。以前から中学生になると、教科ごとに担当教師が変わったり、部活が始まったり、突然の環境変化に馴染めないといった中1ギャップが問題視されていました。そこで中1ギャップをなくすために小中一貫校が設置されはじめました。
実際にお子さんを小中一貫校に通わせているA子さん(関西在住)に一貫校のメリットやデメリットなどについてお話を伺いました。
――なぜ小中一貫校を選ばれたのですか?
A子さん:区役所で小中一貫校のパンフレットを頂いて、初めて小中一貫校の存在を知りました。
それまで、小中一貫校のことについては何も知りませんでした。パンフレットを見て真っ先に公立とは思えないほどかわいい制服が目に留まりました。娘もかわいい制服を見て迷うことなく「ここに行きたい」と言いました。学校説明会では司会進行の若い教頭先生がとてもしっかりしていて、先生方も礼儀正しい印象を受けました。個別相談では校長先生から「とてもアットホームでいい学校ですよ」とお話を伺い、信頼できそうな学校だったので、こちらの小中一貫校に決めました。
――小中一貫校のメリットを教えてください
A子さん:メリットは校長先生が言われたとおり、とてもアットホームな学校であることです。副校長先生や教頭先生の手厚いサポートがあり、先生方は小中学校の垣根なく子どもと関わり合ってくださいます。また子どもたちの情報を小中学校の先生同士で共有してくれています。保健室の先生も2人いらっしゃるので何かあっても安心です。子どもたちが学年を越えて仲良く遊んでいる様子を見ても、面倒見がよく優しい子が多いと感じます。電車通学の子どもが多いため、いろんな地域の子どもや保護者の方に出会えるメリットもあります。行事は小中学校合同のため親は仕事を何回も休まなくて済みます。
――デメリットについて教えてください
A子さん:やはり、施設が一体型なので9年間同じ校舎、同じクラスメイトのため新鮮さがなくなるという点ではないでしょうか。もしいじめにあってしまった場合は逃げ場がなく、中学を卒業するまで学校での生活が苦痛なものになってしまいます。途中で転校せざるを得なくなるリスクがあります。また、中学から入学してくる生徒が少ないため、子どもたちは9年間を狭い人間社会の中で生きることになります。新しい出会いがほとんどないまま9年間を40人程度の少人数で過ごすため、高校生になったときに、いきなり大勢の知らないクラスメイトがいる環境に馴染めるのかと考えると心配になります。
小中一貫校は子どもの性格を見極めて選ぶ必要があります
小中一貫校・義務教育学校の制度はまだスタートして4年ほどのため、メリット・デメリットの検証が十分ではありません。小中一貫校はデメリットもありますが、先生の数が多いことをはじめとした安心できる点が多く、あとは環境が変わらない9年間に苦痛を感じるのか、楽しいと感じるのかは子ども次第です。最終的には子どもの性格に合うか合わないかが重要な選択ポイントとなっています。