「集合体恐怖症の人ゴメン…」
約9万本の爪楊枝をひっくり返してしまった体験を語る国産つまようじメーカー菊水産業株式会社の公式Twitterアカウントの投稿がSNS上で大きな注目を集めている。
たしかに容器に入った爪楊枝をひっくり返す事くらいはたいして珍しくないが、9万本となると一般人には想像もできない世界。この壮大な体験談にSNSユーザー達からは
「たった今、60本の爪楊枝をぶちまけて、途方に暮れています…」
「容器ひっくり返してもうわぁぁぁ( ˃ ⌑ ˂ഃ )ってなるのにwwここまで来たらウケる」
「なんだかモダンアートみたい(笑)でも、なんか芸術的!」
「"容器に入った爪楊枝をひっくり返した事ありますか? そういう時はこうすれば簡単に戻せますよ"……的なメーカーだから知ってるライフハックかと思って最後まで読んだら、まさかの"もっとやらかした自慢"やった」
など数々のコメントが寄せられている。
公式Twitterアカウントの運営担当者にお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):どうして爪楊枝9万本をひっくり返してしまったのでしょうか?
担当者:国産爪楊枝を機械製造している過程で、できあがった国産爪楊枝を箱に詰める作業があります。
1箱15キロ単位で約9万本入っています。箱がいっぱいになったら、移動させて空箱を設置します。その移動させる時に不注意で落としてしまったり、または何かにぶつかって崩れてしまったりします。注意して製造していますので、9万本ひっくり返すことはめったとないのですが、時々起こります。
中将:その9万本を元に戻す手間を考えると気が遠くなりますね…。ほかにも“爪楊枝メーカーあるある”のようなご体験はおありでしょうか?
担当者:以前投稿してバズったことがあるのですが、異業種の方や初対面の人に「爪楊枝屋です」と言うと95%くらいの確率で「爪楊枝の持ち手の方に付いている溝は箸置きみたいにして使うんでしょ?」とドヤ顔で言われる事ですね。
中将:溝に特に意味は無かったんですね(笑)。今回のご投稿も大反響となっています。
担当者:この崩れてる画像はけっこう使い回しなので、分かっているフォロワーさんはこれを見て「バルス」とリプくれたりもします(笑)。
国産爪楊枝というものがあるということを知ってる方も最近は少なくなっているので、こういうツイートで知ってもらえる機会が増えるのはとても嬉しいです。
中将:たしかに普段なかなか知ることのない爪楊枝メーカーのお仕事を垣間見ることができるのは貴重です。菊水産業さんの爪楊枝メーカーとしてのこだわりは?
担当者:この溝のあるタイプの国産爪楊枝を製造している会社は、今はもう全国で2社しか残っていません。私の会社がある大阪府河内長野市の地場産業が「つまようじ」なのですが、地場で製造している所は弊社1社となりました。
1本数銭の世界のモノづくりをしていますが、近年では国産を見直す機会を増え、またSNSなどで発信する事、こうして取り上げてもらったりで知ってもらう機会が増えて嬉しく思います。
また昨年コロナ禍で発売した「つまようじ屋の非接触棒」もヒットし、大阪に爪楊枝屋があるという事を知ってもらうきっかけとなりました。
現在日本のモノづくりは衰退していますが、爪楊枝にかかわらずモノづくりをする事の大切さも知りました。地場産業の担い手としてこれからも頑張っていきたいと思います。
「菊水産業株式会社」会社概要
所在地:大阪府河内長野市日野1100番
公式Twitterアカウント https://twitter.com/kikusui_sangyo
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なお箱内で崩れた爪楊枝は元に戻せるが、外にぶちまけてしまうと破棄せざるを得ないとのこと。衛生上、仕方がないのかもしれないがもったいない話…なにか再利用できるアイデアを菊水産業さんが思いついてくれることを期待したい。