大ヒット曲「男の勲章」の背後にあった先輩の金言、乱闘…40周年の嶋大輔が語るツッパリ人生

あの人~ネクストステージ

北村 泰介 北村 泰介

 いわゆる不良少年が「ヤンキー」という呼称ではなく、「ツッパリ」と呼ばれていた時代の話だ。1982年、18歳の嶋大輔は「男の勲章」という大ヒット曲でブレークした。つっぱることが男のたった一つの勲章…。40年近くを経ても受け継がれる曲のフレーズが、56歳の今も身に染みる。今年、新事務所に所属して心機一転、新たな可能性を模索している。

 一世を風靡したロックバンド「横浜銀蠅」の弟分としてデビュー。「あまりにもイメージが強くて『男の勲章』がデビュー曲だと思われがちですが、2枚目なんですよ。売り上げ枚数は諸説あるようですが、レコード会社からうかがったのは98万枚でした」。アフロリーゼント姿で10代のヒーローとなる一方、リアル不良たちのターゲットにもなった。

 「当時、不良は本物というか、ほんとに不良だった。僕は『テレビ用に作られたキャラクター』と思われていた部分があって、すごく苦労しました。通っていた高校の校門前に『しめてやる』って他校の不良たちが集まって来るんですよ。そのうち、他校同士が大ゲンカになったり、バイクでグルグル回られたり…。すごかったですね」

 作詞作曲した横浜銀蝿のJohnnyから「つっぱることが男の勲章…って、お前、どういう意味か分かるか?表面的な『つっぱる』じゃなくて、内面的な話なんだよ」とレコーディング前に伝えられ、その言葉を胸に刻んだ。2005年には続編「大人の勲章」がインディーズ発でヒット。「大人になって世間にもまれ、くじけたこともあったけど諦めないでまた行こうという歌です。この次ですか?『還暦の勲章』でも作りますか」と、3年後に向けて笑顔を浮かべた。

 21世紀も「男の勲章」に後押しされてきた。02年に宮藤官九郎脚本のTBS系ドラマ「木更津キャッツアイ」ではクドカン流のオマージュを捧げられた自身のキャラで出演し、18年には日本テレビ系ドラマ「今日から俺は!!」で主題歌としてカバーされた。オリックスの大下誠一郎外野手は昨年から登場曲として使っている。

 「『木更津―』では喫茶店の名前も『男の勲章』でリーゼントの店長やってました。『今日から―』では主題歌の元祖ということで歌番組に出させていただいたり、映画版も監督に頼まれてリーゼントで出演。大下選手の登場曲には鳥肌が立ちました。互いにツイッターでつぶやき、連絡先を交換して、今、仲いいです。そういった意味で、あの曲には助けられています。昔はカラオケで『男の勲章』を歌ってと言われるのが嫌で、絶対に歌わなかったんですけど、『求められる過去があることは素晴らしい』と思い始めた。きっかけは萩本欽一さんに『一等賞を取ったら、必ず浮き沈みあるけど、必ず浮かんでくる。プライド持って仕事しなさい』と言われことでした」

 昨年はオリジナルメンバーが集結した「横浜銀蠅40th」のライブにリモート参加。「銀蠅さんがいなかったら今の僕はいない。今後も出させていただきます」と筋を通しつつ、ライザップのCМ出演で約15キロの減量にも成功。新事務所での初仕事となった今年2月放送のBSフジ「クイズ!脳ベルSHOW」では、いじられキャラに徹して笑いを誘った。

 「このキャラが本当の自分だと思います。完全に3(枚目)ですね。何でもチャレンジしたい。求められるうちが華だと。あとはハルウララが千葉にいると知ったので、今のうちに会いに行きたいですね」

 113戦0勝の競走馬に捧げた「ガンバッテるんだ!」(カップリング曲は自身作詞の『今を駆ける』)という曲(04年)がある。「ぜひ聴いてほしいです」。ハルウララに人生を重ねる春が来た。

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 嶋 大輔(しま・だいすけ)1964年5月22日生まれ、兵庫県西宮市出身。本名・森島裕文。小学6年時に横浜市に転居。平塚学園高在学中の81年、横浜銀蝿の「ツッパリハイスクールRock'n Roll(試験編)」に弟分として参加して芸能界入り。同年、八千草薫さん主演のTBS系ドラマ「茜さんのお弁当」で俳優デビュー。ソロ歌手として82年に「Sexy気分の夜だから」でデビュー後、日本テレビ系ドラマ「天まであがれ!」の主題歌となった「男の勲章」が大ヒット。その後は「超獣戦隊ライブマン」「ウルトラマンコスモス」など戦隊シリーズ、映画、Vシネマ、バラエティー等に出演。家族は妻、歌手を目指す長女、中学生の次女。所属事務所はワイエムエヌ。

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