実は「夏」より「冬」のほうが快適なオープンカー この気持ちよさを知らないなんて人生何割か損してるよね

小嶋 あきら 小嶋 あきら

 屋根を開けて颯爽と走るオープンカー。これからの季節、気持ちよさそうですよね。だんだんと暖かくなってきて、日の光を浴びながら風を受けて走る。オープンカーというと太陽がよく似合う、そんなイメージがありますよね。でも実際には、オープンカーが快適なのは冬場だったりするんですよ。

「オープンカー」は外国では通じない?

 屋根が開放される形の車を日本では普通にオープンカーと呼んでいますが、実はあれは日本でしか通じないいわゆる和製英語です。各国ごとにいろいろと呼び名があります。アメリカではコンバーチブル、イギリスではロードスター、フランスやドイツではカブリオレ、イタリアではスパイダーなんて呼ばれています。なんとなくみんな、お洒落な響きじゃないですか。

 私事ですが、4年前までオープンカーに乗っていました。イタリア製のフィアット・バルケッタというクルマです。15年落ちでエアコンが壊れたのを友人から非常に安く譲ってもらいました。今時エアコンがない、というと結構きついというか、普通の人だったらどんなに安くても買わないかもしれません。でもそこを「屋根を開ければ涼しいだろう」という非常に楽観的な考えで即決してしまったのですね。季節は初夏、まだまだ風が爽やかな頃でした。

夏とオープンカー、イメージはとても合いそうですが

 夏とバイクって、なんとなく相性がいいように思われるかもしれません。風を切って涼しそうとか、そういうイメージでしょうか。しかし実際のところはかなり厳しいです。特に大きなバイク。エンジンが発生する熱は排気量の大きさに比例する、と筆者は感じています。天からの直射日光、地面からの輻射熱、そして至近距離から容赦なく熱を伝えてくるエンジン。これはもう、修行です。インドの山奥なんて行かなくても軽くレインボーマンになれます。海帰りの渋滞の横をすり抜けていくバイクを見て「いいなー」と思うドライバーもいらっしゃるでしょう。でもあれは別に颯爽とした気分とかではなく、やむに止まれずという感じです。エアコンなしに猛暑と闘っていて、少しでも風を求めて動いてるのです。

 話を戻します。夏場のオープンカーは、屋根を開けた瞬間からジリジリと太陽に灼かれます。さらにバイクほど体が風にさらされないので、特に足元などはほっかほかです。それでいて、すり抜けはできません。バイクとクルマのきっつい所を併せ持ってしまってます。

 夏場は「屋根を閉めてエアコンをガンガン効かせる」というのが正しい対処法なのですが、幌タイプの屋根などは断熱性がないことが多く結構暑いです。そして何より、せっかくのオープンカーなのにただの室内の狭苦しい車になってしまいがちですから、やっぱりあんまり夏向きの乗り物ではないのですね。

冬は見るからに寒そうですが、実は…

 対して冬場のオープンカー。屋根を開けて走っているところは実に寒そうで、もしかしてなにかの罰ゲーム?という感じにも見えます。でもあれ、足元をヒーターでガンガン温めながら走ると、実はあんまり寒くないんです。よっぽどの酷寒でない限り、実は快適なんですよ。頭寒足熱、なんて言いますけど、まさに身体はほかほか頭はしゃっきり、そして頭上全周遮るもののない開放感。蚊や蜂に悩まされることもなく快適そのもの。この気持ちよさを知ってしまうともう屋根付きには戻れません。これ知らないで過ごすなんて人生何割か損してるよね、って気分にすらなります。

 今年もいよいよ桜のシーズン。これから梅雨までの間は一年で一番過ごしやすい時期といわれます。オープンカーの夏についていろいろ書いてきましたが、春はもちろんオープンカーにとっても基本的にいい季節です。

 その先の梅雨、そして夏はなかなか手強いですが。

 とりあえず渋滞にさえはまらなければ、オープンカーはクルマの快適さとバイクの楽しさを併せ持った素晴らしく爽快な乗り物です。レンタカーでもいいですから、一度体験されてはいかがでしょうか。

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