立ち入り禁止区域に侵入する釣り人の迷惑行為に警鐘…漁港の深刻な事情を紹介する投稿が話題に

中将 タカノリ 中将 タカノリ

近年、漁港の防波堤など立ち入り禁止区域、釣り禁止区域になっているエリアにあえて侵入する、釣り人の迷惑行為が問題になっている。

漁港関係者からはマナーを守っている釣り人と迷惑行為をする釣り人の判別が難しいため、やむなく漁港全体を立ち入り禁止にするというケースも増えているようだ。

今、SNS上ではそんな漁港の現状について紹介する投稿が大きな注目を集めている。投稿者は野生動物料理などを紹介するグルメブログ「ざざむし」を運営する「ざざむし。の人」さん(@nekton27)。

釣り人の迷惑行為は侵入だけでなく、ゴミの放置や機材の破損、違法駐車など多岐に及んでいるらしい。

「ざざむし。の人」さんの告発に対し、SNSユーザー達からは「結局周りが被害を被ってしまうんですね…。釣り公園みたいに完全に分けてしまうのが合理的なんでしょうか。個人的には堤防の釣りが一番好きなんですけどね」「漁業関係者です。港で釣りされるの迷惑です。朝船に乗ったら漁で使う網に針やルアーが引っ掛かることは日常茶飯事で、言っても無駄だと思ってるから警察に定期的に追っ払ってもらってます。漁師の中にもルールを守らない奴はいますが、港釣りやってる奴はほとんどルールもマナーも守りません」「ジェットスキ-をする人たちにもひどい人がいますね。何台もの車を連ねてやって来て、小さな漁港を占領してたのを見たことがあります。もういつ全面的に進入禁止になってもおかしくない。」「川釣りの鑑札みたいに、堤防釣りも県単位で許可制にして、漁業組合や行政に環境管理ができる様なお金が入るようにできればいいんですけどね。」など数々のコメントが寄せられている。

今回の投稿について「ざざむし。の人」さんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):今回の投稿をされようと思ったきっかけをお聞かせください

ざざむし。の人:ここ10年、各地でかなりの釣り場が釣り禁止に変わってきています。今までは大丈夫だったけど変化せざるを得なくなってきている事象というのは様々あり、釣り場を取り巻く問題に関しても同様です。むしろ今までが甘すぎたと言えます。

そんな中「釣り場を失わないためにも釣り禁止区域で釣りするのはやめようよ」という釣り人の声に「その喚起の意味がわからない」という意見を複数見かけたのですが、確かによくわかっていない人からすればそういう解釈もできるなと思い、常識的な判断ができる人なら簡単に理解できそうな感じにまとめてみようと思いました。

中将:マナーを守らない釣り人はそんなに多いのでしょうか?

ざざむし。の人:釣りにおけるマナーというのがどこまでを指すのかという問題がありますが、「周囲に迷惑をかけずその趣味を万人が永続的に楽しむための暗黙のルール」と解釈するならば、守っていない人だらけです。

自分もそれを数えきれないほど見てきましたし、それどころか自分もその道を通ってきました。だから言えることなんです。厳重な禁止柵を乗り越えたり、ゴミを捨てたり、釣った魚を陸に打ち捨てて帰ることが言語道断なことは釣りをせずとも常識でしょうが、釣り禁止看板の前や柵向こうに子連れ釣り師を見たことなんて数えきれず、どんな子が育つのかと不安になります。

初めての土地で遠目に釣り人がたくさん見え、いそいそと近寄ってみると堤防にデカデカと「釣り禁止」と書かれていることはザラにあります。それならまだ目に入ればわかりますが、書かれていなかったり見落としやすいものだと、目前の釣果に囚われてしまいます。

また、皆がやっている漁法が違法や条例違反だったりすることもありますし、釣具屋が平然とそれを勧めたりするんです。そもそも釣具屋では、違法になる可能性の高い漁具が注釈もなく平気で並んでいることが多々あるのですが、販売自体は違法にならないザル状態です。そりゃあ誰しも多かれ少なかれ違反してしまいますよ。業界の体質を疑います。

釣りはどうしても現場で学ぶ部分が多くあり、必然的に先人に倣う面が多く出てきますから、視野が狭くなりがちな初心者ほど流されてしまうのも仕方がないといえます。まず事実を知る機会が必要で、その上で「あれってダメだったのか!」と気付いて変わることができるかどうかの二段階をクリアできないと解決は遠いです。ましてや現在はコロナ禍で釣り人が増えたといわれています。その初心者たちも違反者の行動を模倣してしまう可能性はあります。禁止区域で釣りをしないことはもちろんですが、釣りを趣味としてフィールドに出ている先人である我々の行動こそが未来の行く末を握っていると思います。

中将:今回のご投稿に対しさまざまなコメントが寄せられています。反響へのご感想をお聞かせください。

ざざむし。の人:どのくらい伝わったかはなんとも言えないですが、問題はルールを破って問題を起こす一部の人達にどれだけ理解してもらえるかなんですよね。どこの釣り場も、禁止に至るほどの問題を起こす人はほんの一部であることのほうが多く、そういう方々が理解して改めてくれないと解決されない問題です。

そういった意味では、「釣り場の問題に限らずどの趣味の世界でも同じだ」という意見が多数上がったのが印象的で、よい解決法が見つかって様々な世界に応用できれば未来は明るいのかもしれません。しかし現実にはどの世界も、規制との狭間でまともな人だけが巻き添えをくらって損をするという構図が多いのではないでしょうか。今回はまいどなニュースさんの目に届いたことは良かったのかもしれません。

もしこのまま釣り人の中で自浄作用が働かなければ、軽微なマナー違反でも即通報されてもやむなしという世界になってしまうと思います。

「ざざむし。」
「ざざむし。の人」さんが野生動物を捕獲、実食しながら考察するグルメブログ
http://zazamushi.net

 ◇ ◇

広がる釣り場の規制については、釣り人や釣具店、釣具メーカーによって運営される公益財団法人 日本釣振興会も「釣り場が立入禁止になる原因はすべて釣り人によるルール、マナー違反、そして安全無視の結果です。これ以上釣り場がなくならないよう、釣り人一人一人がルール、マナーを守り、安全に配慮して釣りをすることが、釣り場を守ることにつながってきます。 」とホームページ上で厳しい警告を発表している。

「ざざむし。の人」さんがおっしゃる通り、釣り人の間でマナー違反行為に対する危機意識が高まり、自浄作用が働いてくれることを願いたい。

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