喪服に黒タイツはマナー違反? タイツはカジュアルとする葬祭マナーに…お坊さんの回答が話題

太田 浩子 太田 浩子

 「喪服には、30デニール以下の肌が透ける黒いストッキングがマナー」と聞いたことがありますか?

 ネットで「喪服 タイツ マナー」と検索してみると、検索上位5つの解説のうち「基本は30デニール以下の薄い黒のストッキング」とするサイトが4つ、「60デニールまでならよい」とするサイトが1つという結果でした。タイツがNGなのは、カジュアルだからという理由です。検索結果からも、ほぼ常識として広まっているようです。筆者も冬にタイツをはいている人を見ないので、葬儀に参列するときには黒いストッキングをあわてて買いに走っていました。

 そんなマナーに「冬は寒いからタイツをはきたい!」と訴えたツイートが話題になりました。

「例の件と話はズレるけど、喪服の時のタイツは透けてなきゃダメ、みたいなの決めた人はバカなのかな?て思う
30デニール以下って何?
何目線なの???
喪にふくすこととタイツの透け感関係ある?????????? 
冬の!!!法事は!!!!!!!寒いんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 わかります…喪服のスカートってすごく寒い。

 リプライには「なんなのでしょうね?あの同調意識。北海道でも喪服はあのうっすいのはきます。でも、そんなの若い子気にしなくなるといいな。」「わたしは無視して、がっつりデニール」「冬は裏起毛じゃないと死にます」「『冷え』は女の敵!!!」というコメントのほか、「え、逆ではなく?法事は夏で暑かったので薄い黒ストッキングはいたら、母親からNG出されたことあります」と、透けてはいけないという逆マナーで過ごしてきた人のコメントもありました。

タイツのデニールがいくつであろうと問題ありません

そんななか日蓮宗の六尺法師|本朝沙門日眼(@6SYAKU_HOUSHI)さんが、
「僧侶として申しますと、タイツのデニールがいくつだろうと全く問題ありませんのでご安心下さい。お決まりの『マナー講師こと失礼クリエイター』さん方の余計なお世話です。無視して下さい。これからの季節は冷えますので、ぜひ暖かいお召し物でご参列下さい。寒そうだと仏さまも心配されるでしょう。」
とツイートされて「寒かったので、関係ないと言ってくれて助かる」と感謝の声があがっています。六尺法師さんに、気になっていたことをいろいろ聞いてみました。

──タイツはマナー違反だという話はご存知でしたか?

 マナーとまで言われているとは知りませんでした。仏事の場でそのような事を言う方もいる、程度の認識でした。

──浄土真宗の方も「法事に根性は不要です。防寒対策してください」とコメントされていましたが、宗派に関係なく気にしなくてもよいのでしょうか?

 宗派による差異は基本的にないはずです。日本全国のローカルルールまでは把握できませんが、もしも万が一あったらそれはレアケースかと思います。

──逆に知ってもらいたいことなどありますか?

 仏事自体のルールではありませんが、昨今一般家屋に和室がなくなり畳や襖のある空間に慣れていない方が増えた気が致します。敷居を踏まない、畳のヘリは踏まない、などの一昔前は当たり前に言われていた和室での振る舞いが忘れられていると感じます。

 ツイートの件のような、どこからやってきたのかも分からない謎の創作マナーより、元々ある物に目を当てて頂ければと思います。

──ほかにも男女関係なくマナーだと思っているけれど、気にしなくてよいことはありますか?

 お焼香の作法でしょうか。我々はまだしも、一般の方々が緊張するほど作法に拘らなくてもよいと僧侶の中でも良く話題になります。

──それは確かに緊張します。前の人のお焼香を一生懸命見たりして(笑)。リプにもありましたが、毛皮はやはり避けたほうがよいのでしょうか?

 それは地域性ありきです。葬送儀礼というのは本来、土地土地に根付くものですので、一元化できるものではありません。それこそデニールうんぬんも関東圏と北国とではまるで感覚も違うでしょうし、そうなるとローカルで大丈夫という地域もあります。土地土地の葬送儀礼を尊重して良いと思います。

 その一方である種の同調というのも必要かと思いますので、注意は必要です。

──マニキュアもベージュならいいと聞いたことがあるのですが、どうなのでしょう。

 おしゃれなどの装飾と礼装はまた別物でしょうし難しいところですね。男性の腕時計も似たような扱いかもしれませんね。

 それも一口に絶対こうとは言えませんが、髪の色と同じで「まずいかな」と思うならやめておいた方が良いくらいな感覚でよろしいかと思います。仏教としてどうという尺度より手前の話かと思います。

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