古めかしい薬袋そっくりのブックカバーが話題です。「尾道の古本屋さんで本を送ってもらったら、そのブックカバーにやられた。」のツイートとともに画像が投稿されるや、「洒落てますねぇ」「効能ありそう」などのリプライとともに1万超のいいねが寄せられました。〈一日 数頁 服用〉〈効能 以下の症状に 迷 淋 涙 浸 恋〉などと粋な表記が本好きさんたちにぐさっ。ヨミグスリ、処方してもらえませんか。
広島・尾道の古書店「弐拾dB」(にじゅうデシベル)。JR尾道駅から国道2号を東へ20分歩いた路地裏に、2016年4月にオープンしました。dBとは音の強さを表す単位で、20dBは、木の葉がふれあった際に生じるかすかな葉音の音量といいます。
店主の藤井基二(もとつぐ)さん(28)によると、店は元々泌尿器科の医院。住人不在になってからは地元のNPO法人尾道空き家再生プロジェクトが管理していた築50年はくだらない物件でした。ブックカバーは、書店のオープンの準備作業の際に出てきた薬袋をモチーフに、知人のデザイナーに考案してもらったそうです。レトロな飾り枠の中に、内用薬と明記され、タイプライター風のかすれ気味の文字フォントで〈一日 数頁 服用 食前 食後 食感〉〈用法・用量を守ってお読みください。〉と遊び心あふれる注意書きが!
ブックカバーだけでなく、白いタイルや木の枠のガラス窓など、店内には昭和の風情が色濃く残ります。レジにある計りや照明など年季の入った物たちも、用途を代えて使われています。かつて調剤に用いたてんびんの皿は、レジ横でコイントレーになっています。
「絵本から、エロ、文学まであるまちの古本屋になりたい」と藤井さんは話します。地元のおじいちゃんから「本があるけえ、ちょっと来てくれん」と頼まれることもあり、昭和の漫画全集や初版本、古い写真を託されることも。「昨年は本に混じって、1960年代の高校生の日記に出合いました。直接その人を知らなくても、本などを通してその人の記憶に触れことができるのがこの仕事の妙味です」と話しています。
古本屋 弐拾dB/広島県尾道市久保2-3-3/営業時間は平日23時~27時、土、日が11時~19時、木曜休み
問い合わせは、080-3875-0384(藤井さん)
公式アカウントはこちら https://twitter.com/1924DADA