年末年始にフル稼働した筆ペン類を片付けようとしたところ、ある商品の注意書きが目に飛び込んできました。「ご使用後は必ずキャップをしめ、横置きにしてください」。目の前にはペンスタンドに立てた筆ペンが数本――。筆ペンは縦置きか、横置きか。正しい保管方法についてメーカーに聞きました。
インスタで人気の商品は「横置き」、しかし…
横置き表示のある商品はインスタグラムなどで人気の筆ペン「ぺんてる筆 金の穂・銀の穂」。インスタ上には、赤や黒の紙を背景に金銀インクの美文字が躍ります。投稿に触発され実際に使ってみると、本物の小筆と遜色のない書き心地。書道関係者などからも「恐ろしく書きやすい」「すごく筆っぽい」「筆先まとまる」「筆ペンの中で一番好き」と絶賛される一品です。
メーカーの文具大手ぺんてる(東京都中央区)の担当者に話を聞きました。
――金の穂の注意書きに「使用後は横置きに」とあります。
「『ぺんてる筆 金の穂・銀の穂』の使用後の保存は横置きです」
横置きの理由は、「顔料インキの中に重い粒子が入っているので、縦置き保管をするとインキが固まってしまうため」。「使用前はよく振ってインキを混ぜ、試し書きをしていただいた上で、ご使用いただければと思います」。
――では、金の穂以外の「ぺんてる筆」シリーズは?
「『ぺんてる筆』シリーズの保管をする際は、穂先を下に向けて保管しない、高温の場所に放置しないという点にお気を付けください」
一般的な筆ペンは穂先を上にしてペンスタンドに立て、金の穂・銀の穂はペン皿などに水平にして保管することで一件落着となりました。
ネット「黒バージョンあれば欲しい」
ところでネット上には「金の穂の黒バージョンある?」「黒色あれば欲しい」という投稿が散見されます。金の穂と同じ書き味で、金銀以外の色はあるのでしょうか。
「ぺんてる筆は穂先にナイロン繊維を使用し、独自のテーパー加工(ナイロン繊維を先端に向かって徐々に細くしていく)技術によって、毛筆の書き心地を再現した毛筆タイプの筆ペンです。ただ、穂先サイズやインキ成分などによっても書き心地は異なるので、全く同じ書き心地の商品はございません」
「デュアルメタリックブラッシュは、金の穂・銀の穂と同様の機構を使用しておりますので、比較的書き心地が近いといえるかもしれません。見る角度によって色が変わり、黒い紙と白い紙で書いた時に別の色に見えるので、黒色ではございませんがブラック+メタリックレッドのインキ色は、近い商品かもしれません」
筆ペン復活“裏ワザ”披露
同社によると「12月は1年で最も筆ペンが売れるシーズン」。いざ年賀状を書こうとしたらかすれて書けず、毎年新調するという人も多いのではないでしょうか。そんな人たちに向け、同社公式ツイッターアカウント「ぺぺ【ぺんてる公式】」(@pentel_pepe)は2020年12月3日、筆ペンを復活させる裏ワザを披露しました。
「ナイロン毛の『ぺんてる筆』なら、60度から80度のお湯に浸せば、ほ―ら元通り!」
この投稿には1.1万超の「いいね」ボタンが押され、ネット上では「黙ってれば新しく買ってもらえるのに」「とても助かります」「今まで捨ててた」「商品愛に満ちてる」「公式さん親切すぎ」等、感謝の声が続々と寄せられています。
◆ぺんてる 1946年(昭和21年)創立。「安価で高品質な筆を作りたい」という思いから普通の人でも使いやすい筆の開発に乗り出す。1973年、毛筆の最上級品であるイタチ毛などの天然毛を一切使わない、ナイロンの特殊製法による「究極の合成毛」が完成。1976年、独自のカートリッジ方式を使った「ぺんてる筆」を発売。筆ペンに使われる繊維は口紅やアイライナー用の化粧筆などにも応用される。