「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ! おれは 『姑獲鳥(うぶめ)の夏』の特装版を作ろうと 思ったら いつのまにか定価が10万円になっていた」。衝撃的な告知が講談社タイガ編集部公式Twitterから4月19日にツィートされ、話題を呼んでいます。京極夏彦先生の作家生活25周年を記念して、本革金箔貼り、著者直筆サイン入りの限定本が受注生産されるのです。リプライには「お江戸に遠征できるお値段」「本を読むのに手袋が必要」などの悲鳴(?)が寄せられました。詳しい話を講談社タイガ編集部の栗城浩美さんに聞きました。
特装本は4月20日より三井ショッピングパーク「&mall(アンドモール)」で受注中です。京極夏彦先生のデビュー作「姑獲鳥の夏」と言えば総計1000万部超えの大ヒットシリーズの一作目。過去には堤真一、阿部寛などの豪華キャストで映画化もされました。読者の盲点をつく大胆なトリックが名作の誉れも高い、日本推理小説界の金字塔です。
栗城さんによると、「&mall(アンドモール)」から「マニアの心にささるプレミアム感」をコンセプトに商品を作りたい、というご提案があったことが始まりだそうです。「マニア」で「プレミアム」という語感が京極先生のデビュー25周年記念に読者と分かち合えるものを作れれば、と思っていた栗城さんの気持ちにすっと馴染んだといいます。
「先生は日本文化に造詣が深い方。日本のブランドとコラボレーションできたら、と提案しました。すると先方が「箔座」様をご紹介くださり、自然な流れで『本を金箔で覆う』ことになりました」
「箔座」は国宝や重要文化財などの修復に使用する金沢伝統箔「縁付」をつくり続けている金沢の企業。一流の職人の手でデビュー作が新たに生まれ変わることを先生は喜ばれたのでしょうか。また予約状況は?
「『姑獲鳥の夏』は講談社ノベルス版、講談社文庫版、電子書籍など、ほぼすべての形態で出版済みです。先生の第一声は「これだけ出ているのにまた『姑獲鳥の夏』?」でした。高額商品なので、買ってくださる方にご満足いただけるようなものにするという条件で、装丁・造本は全面的にお任せくださいました」