「この店でサインを頼まれたら売れる」と噂のお好み焼き店に聞いた! 千鳥、ジャルジャル…売れる芸人の共通点とは?

鶴野 浩己 鶴野 浩己

「この店でサインを頼まれたら売れる!」

関西の若手芸人の間で、そう噂されるお好み焼き店がある。NGKから徒歩5分に位置する「ぼんくら家千日前店」だ。

同店のオープンは2008年7月。オープンから数年間店長を務め、現在はマネージャーとして活躍する小堀友和さんは、噂を知った日のことをこう振り返る。

「2010年頃ですかね。ある芸人さんにサインを求めたら、その方が一緒に来ていた芸人仲間のみなさんに『よっしゃ!お前ら見たか!』『これで俺も売れるっ!』と大喜びされて。『どういうことですか?』と尋ねると、『この店でサインを頼まれたら売れるって、芸人の間で噂になってるんですよ』と教えてくれたんです」。

「驚きましたよ」と話す小堀さんだが、実はこの噂、どうやら小堀さんのある行動がきっかけで生まれている。それは、知名度や露出度が高い芸人であっても、サインを求めないケースが多々あったことだ。

「サインをお願いするかどうかに明確な基準があったわけではないんです。有名だろうとなかろうと、僕にとってはみなさん大切なお客様だったから、好き嫌いで決めていたわけでももちろんない。なんでしょう…、勘としか言いようがないです(笑)」。

結果的に来店する芸人たちは「サインを求められた人」と「求められなかった人」に分かれることになる。そして「サインを求められた」側の芸人の多くが、その後どんどん有名になっていった。

千鳥、ジャルジャル、笑い飯、ゆりやんレトリィバァ…と、その顔ぶれはなんとも豪華。今や、全国区の売れっ子たちばかりだ。

「みなさん当時は本当によく来ていただいて、僕も勝手ながら応援させてもらっていたので、全国区で有名になっていかれるのはすごくうれしかったです」。

中でも小堀さんにとって印象深いのが、賞レースでチャンピオンになった芸人が以前のサインに「なんとかチャンピオン」と書き加えてくれる瞬間。「銀シャリさんも笑い飯さんもM-1王者になられて。一緒になって喜ばせてもらいましたね」。

 売れたのは“目の前の人を笑顔にする芸人”

サインを求める人に基準はないという小堀さんだが、売れっ子になった芸人に共通点などはあるのだろうか。

「気さくで人当たりの良い方…ですかね。売れっ子になられた方は、店内で他のお客さんにサインを求められたときも、『プライベートですので…』と間に入る僕に、『いいですよ!』とにこやかな対応をしてくれた方ばかりです」。

さらにもう一つ、共通点があると小堀さんは言う。

それは、「僕を“笑顔”にしてくれた芸人」だ。

当時、お笑いトリオのパンサー尾形さん、ジャングルポケット斉藤さんが、大勢の若手芸人たちと来店したことがあるそうだ。古民家づくりで、決して広いとは言えない店内はほぼ貸し切り状態。そこで彼らは「誰が一番おもろいか」を競う大喜利合戦をはじめ、そのジャッジを小堀さんに任せたという。

「ラップを使った体芸などが繰り広げられたんですが、お二人ともとにかくめっちゃおもろくて(笑)。僕も一緒になって、腹を抱えて笑わせてもらいました。今思えば、売れっ子になる人は、ステージを離れてもやっぱり人を笑わせたい気持ちが強いんやろうなって思います。でも、僕の言う“笑顔”は、そうした芸や話術だけじゃなくて。気さくな対応とか、ちょっとした心遣いとかでうれしくさせてくれた、笑顔にしてくれた方はやっぱり売れていかれましたね」。

では、そうした共通点を踏まえて、これから売れっ子になりそうな芸人は誰か。小堀さんに聞いてみた。

「兄弟コンビのミキさんは、これからもっと売れっ子さんになるんじゃないでしょうか。今でも十分売れていますけど、もっと売れてほしい芸人さんの一人です」。

ちなみに、サインが生み出すこの不思議なパワーは、小堀さんが店舗を離れた今も、谷次店長に引き継がれて継続中だそう。店内にずらりと並ぶ約240枚のサインから、第2、第3の千鳥が生まれる日も近い!?

   ◇   ◇

▽やきやき鉄板 ぼんくら家 千日前店
https://bonkurasen.owst.jp/

※1月26日~2月7日まで感染拡大防止のため休業中。2月8日営業再開予定

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