コロナ禍で表面化した「偏り」…今だからこそ先を見据えた対策を

ドクター備忘録

谷光 利昭 谷光 利昭
新型コロナの先も見据えて…(Eisenhans/stock.adobe.com)
新型コロナの先も見据えて…(Eisenhans/stock.adobe.com)

 首都圏や関西3府県などで緊急事態宣言が出ています。今回も飲食業界などにかなりのダメージがくることが予想されます。コロナの恐怖と経営危機…窮地に立たされている人は多いと思います。

 町医者、病院に対しても再び“受診抑制”が掛かり、治療が必要な人が受けられない状況が増えています。面会なども厳しい制限があり、あまり報じられていませんが、認知症患者の認知症の増悪、それに伴う医療従事者への過度の負担が問題となってきています。

 昨年12月31日現在の人口10万人あたりの死亡者数が最も多い国は167・8人であるベルギーです。イタリアは、121・6人で4位、イギリスは107・6人、アメリカは103・9人、ドイツは39・1人、日本はわずか2・6人です。それでも、わが国では医療崩壊が起きていると言われます。確かにコロナ患者を受けて入れている病院は本当に大変ですが、そうでない病院は閑散としているところが多いはずです。私が聞く限り、町医者は1月初旬から閑散としており、小児科、耳鼻科では顕著になっています。

 重症化した患者数、陽性患者数が公表されていますが、その中身は複雑です。おそらく合併症を有した高齢者の患者さんが多くを占めるのではないでしょうか。また、重い症状のない陽性者の入院、ホテル待機が、医療従事者、かつ陽性者自身への負担に繋がっていると推測します。

 コロナで明らかになった諸々の「偏り」は問題です。コロナが終息しても次の感染症がくることも予想できます。安易な提案はできませんが、今後を踏まえ、人口密度に合わせて、感染症専門の病院を各都道府県に設置し、今後発生する未知の感染症に対してそれらの病院で対応するなど別の有効な政策を検討すべきだと思います。またコロナ禍がかなり長引けば、少し先を考えることが役に立つこともあるかもしれません。

 あのような小さなマスクを配ったり、行き当たりばったりにも思える対策の繰り返しでは、未知の感染症を乗り切ることはまず無理でしょう。今は難局ではありますが、過ぎてしまうと人は先々の恐怖を忘れやすいもの。ですので、今からです。目先の利益だけに追従するのではなく、本当の意味で、国民全体にためになることも真剣に考えてほしいと願います。

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