ウイズコロナ時代に対応「1人で楽しく歌えるアプリ」登場 開発したのはなぜか禅宗の総本山

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新しくできた御詠歌アプリ。昔からある御詠歌トレーナー(手前)をスマホ上に再現した(京都市右京区・臨済宗妙心寺派宗務本所)
新しくできた御詠歌アプリ。昔からある御詠歌トレーナー(手前)をスマホ上に再現した(京都市右京区・臨済宗妙心寺派宗務本所)

 仏教の教えを詞章と旋律にのせて歌う「御詠歌」練習用のスマートフォンアプリを臨済宗妙心寺派(大本山・妙心寺、京都市右京区)が作った。御詠歌は檀信徒が寺などに集い一緒に歌うことで発展してきた仏教音楽だが、アプリには1人で練習できるようメロディーだけを流す機能も新たに搭載。「ウィズコロナ」の時代に対応した仕様となっている。

 天台宗の叡山流や浄土宗の吉水流など御詠歌の流派は多岐にわたり、各宗派の行事などと密接に関わりながら発展してきた。妙心寺派の御詠歌は花園流と呼ばれ、1924年ごろ東京の同派寺院の住職夫妻が研究を始めたことに端を発するという。

 住職やその妻が指導者となって檀信徒らに伝えてきたが、近年は担い手の高齢化が進み、御詠歌団体「花園流無相教会」の会員数もピーク時の半分以下となっている。こうした中、より多くの人が御詠歌に親しめる環境づくりの一環として2年ほど前からアプリの開発を進めてきた。

 アプリでは従来あった指導者向け機器「御詠歌トレーナー」の機能を再現、リズムや音階を整えて歌うための機能を備える。また、今回は妙心寺派の法要などでよく使われる約50曲のメロディーを新たに搭載し、自宅などでの個人練習に活用できるようにした。

 ただ、御詠歌は寺と檀信徒をつなぐ役目を担っており、練習会などを通して寺を中心としたコミュニティー形成にも大きな役割を果たしてきた。新型コロナウイルスの収束が見通せない中、個人練習は緊急時の活動にしてほしいといい、御詠歌を担当する花園会本部の畠中寿浩課長は「アプリはあくまで補助的なものとして開発した。ウィズコロナ時代にあっても、みんなで元気に楽しく歌う機会を大切にしてほしい」と話している。

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