「時をかける少女」「朝のガスパール」「わたしのグランパ」などで知られる作家筒井康隆さんの最新小説「川のほとり」が話題です。
筒井さんは2020年、最愛のひとり息子である画家の伸輔さんを失います。伸輔さんはわずか51歳の若さでした。
「川のほとり」はこの体験が濃厚に反映された掌編。SNSには、「涙涙」「一生心に残る」「たまらない」「切なすぎる」「ラストに涙が溢れてしまった」等、読者の感想が多数投稿されています。
物語は大きな川のほとりのシーンから始まります。主人公の小説家は亡くなって間もない息子「伸輔」と再会します。小説家は、喋り終えたら夢が覚めてしまうことを知っているため、伸輔と語り続けます。
「父さん」
「おう」
「母さんは元気」
「元気だよ」
そのとき、伸輔が発した思わぬ一言とは――。
◇ ◇
著者の筒井さんは次のようにコメントしました。
「(新潮社の)中瀬ゆかり出版部長からは、涙のあとをたくさん原稿用紙に残してしまったという有り難いメール、「波」の楠瀬啓之編集長からも、言葉もなく、問答無用に打たれたというお褒め、矢野氏からも、とてつもない、異常な感動を与える作品という過分のメールを頂いた」(筒井康隆ウェブ日記「偽文士日碌」より)
「川のほとり」は現在発売中の文芸月刊誌「新潮 2021年2月号」に掲載。1月7日発売、416ページ、A5判、1091円(税抜き)。