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商業主義に走るマスコミに喝! 73歳の大御所スポーツ評論家が「辛口」YouTuberデビュー

国貞 仁志 国貞 仁志

 京都・祇園生まれの「大御所」スポーツ評論家が、70歳を過ぎて動画投稿サイトYouTube(ユーチューブ)のチャンネルを開設した。

 番組では野球、サッカー、相撲などをテーマに幅広い問題を取り上げ、知己の著名なジャーナリストや有識者とクロストークを展開する。

 「スポーツジャーナリズムがこの国には存在しない。批判できないところにジャーナリズムはないよね」

 そう言い切るのは、長年スポーツライターとして活動し、テレビのコメンテーターでもおなじみの玉木正之さん(73)=神奈川県鎌倉市。

 玉木さんは、テレビ局を中心とするマスメディアがスポーツをエンターテイメント化したり、スポーツの主催事業をしたりすることで、報道機関が担うべき批判精神が欠如することへの懸念をずっと抱いてきた。

 スポーツは本来、社会の中でどうあるべきか。こうした視点に重きを置いた発信をしていこうと、2025年4月、自身のユーチューブ番組「TAMAKIのスポーツジャーナリズム」を始めた。

多彩なテーマとゲスト

 週に2回程度のペースで20~30分の番組を配信する。6月からは番組にスポンサーが付き、多彩なゲストを招いている。

 高校野球をテーマにした回では、部内での暴力事件があり夏の甲子園大会の途中に出場辞退した広島・広陵高をめぐる問題を取り上げ、背後に潜む論点を多角的な見方であぶり出した。これまでに2.6万回視聴され話題を集めた。

 今年6月に亡くなった「ミスタープロ野球」こと、長嶋茂雄さんを追悼する番組では、計3回にわたり、玉木さんとスポーツライターの小林信也さんが長嶋さんの思い出や存在した意味を語り尽くした。

 サッカーでは日本代表が近年強くなった理由について、ベテランサッカージャーナリストの大住良之さんや後藤健生さんを招き、オンラインで徹底議論した。

 スポーツと戦争、平和をテーマにした番組が多いのも特色の一つ。11月の大相撲九州場所で初優勝したウクライナ出身の安青錦関の大関昇進に絡め、ウクライナ紛争やスポーツ事情について大学教授と語り合った。

 玉木さんは「マスメディアと同じテーマを取り上げながら、マスメディアとは違う方向で論評をしていく。ゲストに招くのは、試合の勝敗でワーワー騒ぐような人ではなく、ジャーナリズムの精神や感覚を持った人にしている」と話す。

ジャーナリズムを問う

 玉木さんの言論に通底するのは「権威主義」への否定だ。反権力の精神が息づく京都市中心部で生まれ、生家は祇園で電器店を営んでいた。地元の進学校である洛星中学・高校を卒業し、東京大に進んだが中退。その後フリーで活動しながらペンの力で名を成した。

 「スポーツは民主主義の中からしか生まれない。それは古代ギリシャであり、近代イギリスです。反暴力が民主主義の基本であり、その中からルールのあるスポーツというものが生まれた」

 権威におもねられない、歯に衣着せぬ発言でスポーツの本質を説き続けた。だから、テレビのワイドショーなどでスポーツがエンタメとして消費される現状を嘆く。

 「司会者が偉すぎるね。(結論への)道筋をつけている」と皮肉り、コメンテーターに対しては「スポーツの素人がわかったような顔をして話をしすぎ」。

 また、報道機関であるマスメディアが高校野球の全国大会を主催したり、プロ野球の球団を持ったりすることにも批判的で、営利目的の事業を行っている矛盾を喝破する。

AI時代に論戦を

 いま、SNSや生成AIの普及でジャーナリズムのあり方が揺らいでいる。それは、スポーツの伝え方や伝わり方とも無縁ではなくなってきている。

 玉木さんは、あらためてユーチューブで配信することの意義を説く。

 「私は字を書く人間だから字を書くのが本来ではあるけれど、スポーツ論を戦わせることができるジャーナリズムの場をつくっていきたい」

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