“日本三景”天橋立に「不思議な井戸」 海に囲まれているのに淡水が出る秘密とは?

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天橋立にある「磯清水」。周囲を海に囲まれている天橋立にありながら淡水が出ている(京都府宮津市)
天橋立にある「磯清水」。周囲を海に囲まれている天橋立にありながら淡水が出ている(京都府宮津市)

 きょう9日午後7時半からのNHK総合「ブラタモリ」は、タモリさんが、宮城県の松島、広島県の宮島と並び日本三景の一つに数えられる天橋立(京都府宮津市)の秘密をぶらぶら歩いて探る予定だ。天橋立は、全長約3.6キロの砂州で、砂浜と松並木が続く「白砂青松」の風景で知られる京都府内屈指の観光地。その南側に、淡水が出る不思議な井戸がある。東を宮津湾、西を阿蘇海という二つの海に挟まれているのに、なぜこの場所に淡水が存在しているのだろう。番組の予習を兼ねて、その秘密を紹介したい。

 天橋立は、主に河川から流れ出た石や砂が海面上昇に従って波の作用などにより堆積し形成された地形で、京都府北部の日本海側に位置する。その神秘的な姿は、古くから絵画や和歌の題材となるなど、人々を魅了してきた。

 この天橋立の中に、ぽつんと「磯清水」と呼ばれる井戸がある。周囲を海水に囲まれていながら塩味を含まない淡水が出ており、環境省の「名水百選」に選ばれている。

 「磯清水」はなぜ淡水なのだろう。仕組みを知りたいと京都府に尋ねたが、「こちらでは分かりかねます」と言われてしまった。それならば、地元の宮津市に聞いてみよう。広報担当者から宮津市教育委員会に取り次いでもらったが、こちらも「分からないですね」とのこと。府丹後土木事務所に問い合わせるようアドバイスを受けて連絡してみたものの、こちらは「うちの所有ではないんです」という回答だった。これは専門家に教わるしかなさそうだ。

 自然地理学に詳しい嵯峨野高(京都市右京区)の山脇正資教諭に尋ねると、「雨水が天橋立の地下に浮いた状態でたまっているからです」と説明してくれた。天橋立のように、水を通しやすく海水を含んだ地層では、海水より軽い淡水が海水の層の上にレンズ状に存在しているという。美しい松並木も地下の淡水が育んでいるそうだ。

 天橋立観光協会は「磯清水」について「『不思議な井戸』としてPRしています」と話す。京都丹後鉄道天橋立駅から徒歩約15分。安全上の理由から飲むことはできない。

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