大阪・八尾市は、歯ブラシ生産日本一の町。その八尾で生産量トップの歯ブラシメーカー「ラピス」が、歯ブラシ技術を使ってネイル筆(Dii Mak=ディーマック)を開発した。そもそも、なぜ歯ブラシメーカーがネイル筆を作ることになったのだろうか。
「Dii Mak」は、商工会議所を通じて知り合った経験豊富なプロのネイリストと協力して作ったネイル筆。適度なコシがある筆先で描きやすく、筆そのものが軽いので疲れにくい。また、柄に自社のサロン名を入れることも可能だ。
「実は歯ブラシとネイル筆は、製造材料がほぼ同じです」と語るのは、ラピスの乾真治社長。同社は、創業当時から専門家が求めるこだわりを形にし、商品化するメーカーとして成長してきた。歯ブラシも一般的な形状以外に、歯科医師の意見や要望を取り入れながら作った歯間ブラシや、T字カミソリのような形状の舌ブラシなど、ラインナップも豊富。しっかり磨けて虫歯予防に期待できる商品を作ってきた。
Dii Makを作る際も、歯ブラシと同様に現場のネイリストの要望を聞き、企画から進めた。「何本もネイル筆を使ってきましたが、毛先が固すぎたり柔らかすぎたり。また消耗品にもかかわらず1本2000円ほどするので、もっと安価で使い心地の良いネイル筆を探し求めていました」と語るのは、ネイリスト歴20年以上で、Dii Mak開発に携わった金子真由美さん。初心者も熟練者も扱いやすい筆、ジェルが毛の間にスムーズに馴染む筆、細くて塗りやすい筆、色の濃淡がつきにくくしっかり塗れる筆など、不満や改善したい点をすべて伝えたという。