これは欲しいぞ!ジャポニカ学習帳風「ぼうちょう」ノート 攻め続ける北海道・鷹栖町議会の新たな挑戦

黒川 裕生 黒川 裕生

週刊誌の中吊り広告風という大胆なデザインの定例会案内チラシで全国的な注目を集めた北海道の鷹栖町議会が、今度は「ジャポニカ学習帳」風の議会傍聴ガイドブックを世に放つ。実際にショウワノートの許可を得て作ったという力作で、「誰でも傍聴できるの?」「アメとかなめてもOK?」といった基本的なルールから、議事進行の決まり、議会に関わるための具体的な方法に至るまで、写真やイラストを交えてわかりやすく解説。鷹栖町議会は一体どこへ向かっているのか? “首謀者”である町議の片山兵衛さんに、再び取材を申し込んだ。

見た目は紛う方なきジャポニカ学習帳の表紙に「ぼうちょう」の文字と議場の写真、そして鷹栖町のマスコットキャラクター「あったかすくん」のイラストがあしらわれたガイドブック。デザインは裏表紙まで徹底されており、見た目は本物のジャポニカ学習帳と一緒に文具売り場にあってもほとんど違和感がない。中身はQ&A形式で、傍聴はもちろん、議会運営の仕組みや議員の仕事についても興味を持ってもらえるよう、片山さんら町議が「有権者に知ってもらいたいこと」や「密かに疑問に思われていそうなこと」などのアイデアを出し合って選んだ全21問を掲載している。

例えばQ3「そもそも議会って何のためにあるの?」には、「町民の意志を反映し、どのように調整を進めるか決定するためにあります」とした上で、町民の代表者として議決や監査などの役割を果たしていることを説明。Q4「アメとかなめてもOK?」には「議場内での飲食は禁止です」としつつ、「感染症対策中は中止しますが、傍聴席の外ではコーヒーやお茶を飲める用意やアメなどの提供をしています」と回答している。「傍聴の記念に…写真撮影してもOK?」「議長は司会してるだけ?」「『そうだ!』とか言ったりしてもいいの?」など、あまり人に聞く機会がない素朴な疑問も幅広く取り上げてあり、まさに“学習帳”の面目躍如といったところだ。

鷹栖町議選は直近の2019年4月まで、3期連続で無投票。片山さんは「有権者の関心低下は深刻で、このままでは『町議って何をやってるんだ?』とさえ思われかねない」と危機感を募らせる。打開策として始めたのが、先日話題になった吊り広告風の案内チラシや、議員の一般質問を5段階で評価する「通信簿」の取り組みだ。今回のジャポニカ学習帳風の小冊子もその一環で、今年7月頃から準備をスタート。回答は「議員必携」などの書籍や町の傍聴規則を仔細に検討して文案を練り、間違いがないよう町議会事務局にもこまめにチェックしてもらって完成させたという。

「今の鷹栖町議会には『新しいことをやってみよう』という空気があり、少々変わったアイデアも受け入れられやすい」と前向きに語る片山さん。「私たち議員自身も勉強になりましたが、今後は町民の皆さんの意見も取り入れながら改訂を重ね、ガイドブックをさらに良いものにしていきたいです」と意気込んでいる。

A5判、24ページ。500部制作。14日、15日に開かれる鷹栖町議会定例会の傍聴に来た人に無料配布するほか、希望があれば町外の人にも送付する。問い合わせは、鷹栖町議会事務局(tel:0166-87-2111)まで。

■鷹栖町議会 https://www.town.takasu.hokkaido.jp/kurashi/gikai/index.html

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