人気アニメ「鬼滅の刃」の大ヒットにより、改めて注目を集めている場所がある。京都府京丹後市久美浜町の「神谷太刀宮(かみたにたちのみや)」。社名に含まれる「太刀」の文字が「鬼滅」との縁を感じさせるが、それ以上に、境内にある岩が本編に登場する巨大な岩にそっくりなのだ。多い日は子どもから大人まで25組ほどが訪れるといい、中には東京都など遠方から足を運ぶファンも。新たな「聖地」として人気を呼びつつある。
神谷太刀宮は、祭神の丹波道主命が身に付けていたという宝剣「国見の剣」を祭っていることからその名がついた。この宝剣は神谷太刀宮が建つ久美浜町の地名の由来にもなっているという。
話題の岩は、大きな岩が無数に転がる「磐座」と呼ばれる場所にあり、境内地を定める以前から地域住民らの信仰の対象とされてきた。夏至の日になると日光が割れ目にまっすぐ差し込んだり、人1人がくぐり抜けられるほどの割れ目があるなど、ユニークな巨岩が多く見られる。
佐治宣幸宮司(46)は「大きな岩が残っているのは磐座の周りだけ。不思議で神秘的な場所なので、パワースポットとして来られる人もいます」と話す。
話題の岩は高さ約5メートル。正面から見ると分からないが、横から見ると割れ目が現れる。その見た目が、「鬼滅」の主人公・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が修行の集大成として刀で切った岩にそっくりといわれている。
ところで、割れ目はどうしてできたのだろうか。佐治宮司は「『神様が切りました』と言えればいいのですが、由来が残っていなくて、はっきりとは分かっていません」と苦笑いする。
岩が注目を集めるきっかけとなったのは、地元の自治会がフェイスブックに投稿した写真だった。自治会の谷口潔会長(65)は「地域の人から『よう似ている場所があるで』と聞いたので、アニメを見たら『本当やなあ』と。地域を知ってもらうきっかけになればという気持ちで載せました」と語る。
その写真が話題となり、休日ともなると、磐座には、炭治郞のコスプレをした人や、木刀を持った人などが集う場所になっているという。
神谷太刀宮は「地元の誇りで自慢」と言う谷口さん。「氏神さんに大勢、来てもらうのは地元としてうれしい。ぜひ本殿にお参りしてから来てほしいですし、毎年10月の秋祭りにも足を運んでもらいたいですね」と期待を寄せる。
神谷太刀宮は山陰近畿自動車道京丹後大宮インターチェンジから車で40分、京都丹後鉄道久美浜駅から徒歩で3分。