世の中には現実とは思えない美しい景色が沢山ありますが、海の中の鳥居と空を切り裂く雷光を収めた、まるで一幅の絵画のような荘厳な写真が、話題を集めています。
場所は、茨城県大洗町の「大洗磯前(いそさき)神社」。太平洋に面した丘の上に立つ、創建856年という由緒正しい神社で、眼前の岩礁には「神磯(かみいそ)の鳥居」が立ち、パワースポットとしても人気があります。一方、撮影したのは、地元茨城出身のフォトグラファーでTwitterユーザーのスケガワ(@skgw114)さん。その写真は神社の目にも留まり、近く同神社に奉納されることになったことを報告するツイートには、1.5万いいねが寄せられ「雲間から神様が現れてきそう」「この先にラピュタがあるんですね」といったリプライも。詳しく尋ねてみました。
――この写真はいつ撮影されたのですか?
「一昨年の夏に撮影しました。雷がものすごく多い年だったと思います。写真を撮った頃にはもう雨が降り始めていたのを覚えています。よく見る真下に落ちる稲妻ではなく、なかなか見ない、樹木のように広がるタイプの稲妻で、これは是非撮らなければ!という思いでした。理想的な雷が来るまで粘っていたので、雷が鳴り始めてから1時間程撮り続け、何十枚も撮った中の一枚です」
――他にも大洗磯前神社で、沢山の写真を撮られています。
「海の中に鳥居があるという全国でも数のない絶景が近場にあり、その場所の存在を知った時からいろんな表情が見たいと思い、通うようになりました。続けて通っていたのは丸1年程度ですが、その後も他の場所を開拓しつつ、撮り続けています」
――心に残った光景などを教えて頂けますか?
「雷もそうですが、夜光虫や天の川、流れ星など、神磯に興味を持って、通い続けないと知らなかったようなものに沢山出会えた事が、自分自身にも糧となっています。写真はTwitterで発信していたのですが、それを通じて色々な人に興味を持っていただき、地域の方たちにも認知していただけて…。大洗を舞台にしたアニメのイベントや地域の忘年会などに呼んでいただいたり、町おこしのモデル撮影などに携わらさせて頂いた事も思い出深いです」
Twitterには、この写真を含め神磯の鳥居の写真も多く載せていたそうですが、そのうちに「鳥居の人」と認知されるようになったというスケガワさん。その縁で大洗磯前神社の神職から「(雷の写真を)神社に飾りたい」との話があったそうです。
実は写真の学科や専門学校出身ではなく、地元の私大卒というスケガワさん。写真自体は学生の頃から「単純に『かっこいいから』趣味で始めた」ものの、すぐにのめり込み、写真館に就職。今はスタジオカメラマンのかたわら、趣味でも写真を撮り続けています。
話題になったことについて「今回は写真の紹介ではなく、奉納して頂く事へのお知らせでしたが、それでこんなに話題にしていただけるとは正直思いませんでした。改めて神磯の認知度の凄さを知ったのと同時に、純粋にすごく嬉しかったです」とスケガワさん。次は「全部神磯の写真集を出す、雷を超える神磯の絶景を撮る、神磯以外の大洗の絶景を探す、静岡・沼津でも何か写真を残す―が目標です」と話してくれました。