高知県南国市の路上に止めた軽乗用車内で11月29日に20代の女子学生が男に刃物で腹部を刺され、翌日、出頭した同市の作業員、北岡卓矢容疑者(37)が殺人未遂容疑で逮捕された事件を受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は12月1日、現地取材を通して事件のポイントを当サイトに解説した。
高知県警南国署によると、運転していた北岡容疑者は南国市の路上に止めた軽乗用車の中で、県外に住む20代女性の腹を刃物で刺してけがをさせた殺人未遂の疑い。警察が逮捕状を取って行方を捜査していたところ、30日夜、同容疑者が、職場の上司に連れられて南国署に出頭したという。
北岡容疑者は女性を刺した後、現場に車を置いて逃走。女性はけがを負ったものの、命に別条はないという。地元紙では「女性はヒッチハイクの途中で、2人に面識はなかった」と報じられていたが、県警の捜査関係者によると、被害者は動揺しているためか、供述が二転三転しており、あいまいな点もあるとして詳細な状況について話を詰めているという。
小川氏は「現場に行ってきましたが、昼間でも全く人がおらず、車も走っていない。山の中の脇道で、周囲は山と畑、そしてラブホテルが一軒ポツンとありました。女性は車内で腹部を刺され、その脇道から200メートルほど離れた交通量の多い県道に出て助けを求めた。容疑者は車を乗り捨て、凶器とみられる骨切り包丁が現場付近の高速道路の中央分離帯付近で発見されました」と状況を説明した。
さらに、小川氏は「事件後、50人体制で捜査をしており、事件発生後、緊急配備を敷き高速道路を封鎖するなど捜査本部と同等の体制で臨んでいると言えます。容疑者は逮捕前から『南国市の37歳の男』と特定されていました。逮捕されたことで、事件の究明が待たれます」と解説した。
その上で、小川氏は「なぜ県外の20代女性が南国市に来て、地元の37歳の男に刺されたのか?ただ、負傷程度は1週間ほどで傷も浅いことから、容疑者に強い殺意があったとは一概には言えない。強く深く、何度も刺すなどの強い殺意はみられない」と指摘。その上で、「まだ詳細は分かりませんが、SNSだとか、ヒッチハイクだとかで、昼間だったとはいえ、男性が運転する車に乗ると、そこは密室になるので、注意が必要なのは言うまでもない」と警戒を呼び掛けた。