菅原文太ばりにカッコいい外猫、おなかの大きい友達を連れ「家に入れて」実は超家好きの猫だった

渡辺 陽 渡辺 陽

埼玉県に住む村上さんのところに、先住猫のころちゃんにそっくりの猫がごはんを食べに来るようになった。しばらくすると、その猫が友達を連れて来るようになった。その猫はお腹が大きく、妊娠しているようだったので村上さんは2匹とも保護して家に入れた。ところが・・・

 

先住猫に瓜二つの猫

2012年6月、埼玉県に住む村上さんは、にじちゃん、ころちゃんという2匹の猫を保護して飼っていた。それからほどなくして、窓の外にころちゃんらしき猫を見つけて驚いた。

「我が家は完全室内飼い。窓にも網戸にもロックをかけているので、出られるはずはないんです。でも、白茶でうさぎのようなまんまるしっぽが特徴のころちゃんとまったく同じで、そっくりな子が外にいる。慌てて部屋を見に行くと、ころはちゃんとそこにいました」

「じゃあ、あの子は誰?」

村上さんは、「もしかしたら兄弟かもしれない」と思った。その猫は、それからちょくちょく顔を見せるようになった。しかし、家に入る気はないようで、ご飯だけ食べに来る自由な猫だった。よそでもごはんをもらっているようで、ころちゃんやにじちゃんより体格がよかった。

友達を連れて現れたぶんさん

その後、猫は毎日ご飯を食べに来るようになった。しかし、家の中に入るかと尋ねても、その誘いにはのってこなかったので、村上さんは保護はあきらめ、TNRをすることにした。村上さんは猫を保護したことはあるが、TNRは初めてだった。「不妊手術後もごはんを食べに来てくれるかな?」という心配をよそに、リリースした翌日以降も猫は現れた。

相変わらず毎日朝晩ごはんを食べに通い、外での生活を自由に満喫していた猫。近所の人からも可愛がられ、楽しい毎日のように見えた。

「外で強くたくましく生きるというよりは、たくさんの人に可愛がられ不自由なく暮らしているという印象でした。菅原文太のようなカッコいい猫だと思い、『ぶんさん』と名付けました」

半年ほど経ち少しずつ寒くなってきた頃から、ぶんさんは玄関でごはんを食べ、食べ終わると出ていくのを繰り返すようになった。次第に玄関にいる時間が長くなり、一旦外に出てもまた「開けて!」と鳴くように。「そろそろお家に入ってもいいんじゃない?」と誘っていたある朝、突然知らない子を連れてきた。2012年11月27日のことだった。

「その子はもうすぐ出産するのではないか?と思われる大きなお腹をしていたんです。翌日も同じように連れてきたので、寒空で出産するのはかわいそうだから家に迎え入れることにしました。ぶんさんファンがたくさんいたので家に入れてしまうのはどうか?と思っていたのですが、『ぶんさんも一緒においで』と声をかけると応じてくれました」

妊娠しているようだった猫は、幸せをたくさん感じてほしくて 「さち」と名付けた。ぶんさんは、実際はとても愛くるしい子で、イメージは全然違うが、呼びなれた名前を本名にした。

ホットカーペットやコタツ、エアコンが大好きな猫

ぶんさんとさっちゃんとはどんな関係なのか分からないが、食べるものに困っていたさっちゃんを「ここなら好きなだけ食べられるよ」と、ぶんさんが連れてきたのではないかと村上さんは思っている。

家に入った後のぶんさんは、家での生活を満喫し、ホットカーペットもコタツもエアコンも大好き!タイマーが切れるとすぐに点けろと催促をするほどだった。

「こないだまで外でどうやって暮らしていたの?と思うほど誰よりも家猫だったんです!」

ただ、ぶんさんは外への興味はずっと持ち続け、外に向かって大きな声を出すので、近所の人からは注目の的。まるで、外にいたときにお世話になった人に、「ぼくここにいるよー」と挨拶しているようだった。また、公園に猫がいると必ず呼びかけるので、辺り一帯の猫を家にスカウトしているようで、そう思うと恐ろしくなることがあるという。

さっちゃんは衰弱しきっていた。大人しくて感情を読み取るのが難しく、縁側が似合いそうな子だった。時々ぶんさんがおもちゃではしゃぐ姿を見ては、解せない顔をしていた。

大変なこともあるが、幸せいっぱい

村上さんは、出産間近だと思われたさっちゃんを、住環境が変わったストレスもあるだろうと静かに見守っていた。しかし、1週間経っても兆候が現れず、さすがに心配になって動物病院に連れていった。

「驚いたのですが、パンパンだったお腹の中に赤ちゃんはいなかったんです!詰まっていたのは大量のウンチ!粗悪な食べ物しか食べられなかったため便が詰まってしまい、出せなくなっていたんです。家に来てから少しずつ便秘も改善してきたので、まったくそんなこととは思わず、本当にびっくりしました」

若いと思っていたが、実はすでにかなり年齢も重ねているようで、縁側が似合うというのはおばあちゃんぽい、ということだったのかもしれない。

猫を3匹飼っていた村上さん。2012年には、にじちゃん、ころちゃん、ぶんさん、さっちゃんを保護したので一気に4匹増えてしまい、合計7匹になった。

「大袋で購入しているカリカリはあっという間になくなるし、公園育ちの子の場合、猫トイレは細かい砂じゃないとボイコットするので、鉱物系の砂に変更を余儀なくされました。大量の砂の購入やゴミ出しをしなければならず、なんだか修行させられている気分になることも」

しかし、村上さんは、なぜだか毎日楽しくて、「猫がいるって幸せだなあ」と猫との暮らしを満喫している。

■猫の様子を紹介する村上さんのインスタグラム https://www.instagram.com/nekoyashiki2222/

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