一人四役でパパ&ママ世代も注目!3つの“まさか!?”内田慈ってどんな女優?

石井 隼人 石井 隼人
一人四役も…女優の内田慈(撮影:石井隼人)
一人四役も…女優の内田慈(撮影:石井隼人)

“まさか!?”その3。主演映画『レディ・トゥ・レディ』のために、30代後半にして競技ダンスに初挑戦。生活に追われる主婦・真子(大塚千弘)と売れない女優・一華(内田)が前代未聞の女性同士ペアを組み、自分自身の生き方を肯定していくダンスムービーだ。

競技ダンスは正規の男女ペアでさえも難しいのに、女性同士となると体つきや筋力の問題があり、なおのこと難しいという。「足のステップもなかなか上手く運ばず、足がこんがらがってドタドタ~!となるようなこともありました。筋肉痛は当たり前。体を思い切り反らせながら踊るせいか、肩甲骨の間が痛くなったりして。競技ダンスはまさに全身運動」と苦労の連続だった。

それでも演じたかったのは、脚本・監督の藤澤浩和の才気に惚れたからだ。「すごく明るい物語で笑いのセンスも抜群。同時に女性たちの心の葛藤も繊細に描かれている。誰もが笑えて、そしてホロッとさせられる。そんな物語を若い監督が作ろうとすることにワクワクとエネルギーを感じました」と受けて立つ構えだった。

猛特訓の末の力強く優雅な競技ダンス以外にも、たくさんの見どころがある。脇役に至るまでの立体的な人物造形や、観客を飽きさせない工夫に溢れた画作り。女性同士の連帯や自己肯定を爽やかに語りながら、クライマックスには「これぞエンタメ!」という感情を爆発させるような仕掛けもある。これが長編映画監督デビュー作とは思えぬ、藤澤監督の卓越したセンスの賜物だ。

内田は「美学とビジョンが明確な監督で、撮影中に“そう撮るの!?”とビックリしたこともあります。楽しいことを見つけるのも上手く、エキストラやアンサンブルの動きもすべてご自身で演出する。笑いも、わかる人にだけわかる笑いではなく、みんなに面白さが伝わる笑い。でも自分に酔っていなくて冷静でもある。ここまでのエンタメを堂々と作れるのは、才能がある証拠」と太鼓判だ。

本来ならば今夏公開予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期。しかし内田は延期を好機と受け止めている。「競技ダンスを通して私が感じたのは、相手に寄り添い、相手を受け止める感謝の気持ち。それは未来に希望を持ちづらい現実が押し寄せてきてる今の時代にこそ、必要なもの」と確信。

鑑賞後には現実の暗さや憂鬱さを吹き飛ばす、突き抜けた爽快感が得られる。「一華たちの最後のセリフは胸に迫ります。どんな状況下であろうとも自分が楽しく生きれば、希望は必ず生まれる。そう教えてくれるからです」。

真子と一華の女性同士ペアの前には、男女ペアしか認めない競技ルールという大きな壁が立ちはだかる。抗えぬ困難に対して彼女たちはどのような答えを出すのか?映画館で二人の女性の奮闘を見守り、元気と勇気と希望を受け取ってほしい。“まさか!?”の大ヒットを期待したい。

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