大津市馬場3丁目の銭湯「都湯」に、不定期で「出勤」する看板猫がいる。名前は「トタン」。この気まぐれな看板猫が漫画化され、銭湯好きの間で話題を呼んでいる。9月下旬にウェブ連載が始まると、漫画を見て訪れる客も現れ始めた。新型コロナウイルス感染拡大の打撃から立ち直りつつある同銭湯にとって、トタンが文字通りの「招き猫」になっている。
トタンは店主の原俊樹さん(36)が自宅で飼っている。昨年1月、男湯のトタン屋根にいた野良猫を原さんが保護したのが名前の由来。雄の黒猫で、鼻先やしっぽの先などが白いのが特徴だ。獣医師が推定したトタンの誕生日が、偶然にも、約2年の休業を経て都湯が再開した2018年11月17日ごろだったといい、驚いたという。
漫画化のきっかけも偶然だった。昨年11月、東京都内の出版社から取り寄せた本を脱衣所などで販売するイベントを機に、京都市在住の漫画家スケラッコさんと知り合った。
銭湯やネコが好きなスケラッコさんと意気投合し、冗談で頼んだトタンの漫画化が実現した。コロナの緊急事態宣言で約1カ月間の自主休業中に連載の話が舞い込んだ。「先が見えなくて落ち込んでいた時で、本当にうれしかった」と振り返る。
漫画のタイトルは「みゃーこ湯のトタンくん」。トタンが店主、原さんが店員という設定。銭湯の外観や番台、浴槽のタイルなど実物そっくりで、次々に訪れる客のネコたちのしぐさもほのぼのと描かれる。
スケラッコさんは「漫画を読んで銭湯に行ってみよう、と思ってもらえたらうれしい」とコメントを寄せた。
連載は、ウェブ雑誌「みんなのミシマガジン」から無料で閲覧できる。連載は約1年の予定で、毎月第4金曜に更新される。都湯090(3820)1126