北極と南極に暮らす生きものの補食の流れが分かるぬいぐるみ「食物連鎖(北極)(南極)」の画像がSNSで注目を集めています。オキアミ→魚→アザラシ→ホッキョクグマと、命の重なりゆく様が一目瞭然、しかも捕食の順に各々のお口の中に収めて遊べる親切設計。「分かりやすさ」と「映え」が合致したこのキャッチ―なぬいぐるみは、いったいどういう意図で作られたのでしょうか。
「新発売の「食物連鎖」がテーマのぬいぐるみをご紹介します!可愛いだけじゃなく、生き物についての知識を深めていただけるように工夫しました。北極と南極の2種類です。口の中に順番に入れて遊べます」というテキストとともに投稿されたこのツイートには「可愛い」「欲しい」などの声が相次ぎました。商品化への経緯を、同商品を制作したメーカー「株式会社AQUA」(神奈川県・横浜)広報の宮地真希子さんに聞きました。
――とてもユニークなぬいぐるみですね。
弊社は動物園や水族館の中にある売店を運営しており、メーカーとして「かわいい!」や「おもしろい!」と感じていただける製品を作ることから一歩踏み込み、生き物の生態や生育環境にも興味を持ってもらえたら、との思いから『Sense of wonder (センスオブワンダー)シリーズ』を開発しました。
「食物連鎖」は同シリーズの新作。動物園や水族館にいる生物が、本来の生息地で何を食べてどのように生きているのか。生きていくことの厳しさやその環境についても想像してもらえれば嬉しいです。
――可愛いだけのぬいぐるみではない、と。
ぬいぐるみならではのやわらかさ、かわいらしさを楽しみつつ、生き物についての知識を深めていただけるように工夫しました。生態や生育環境に興味を持つ「入り口」になるよう「リアルすぎない」、「遊びやすい形状」を心がけました。
食物連鎖とは、ぬいぐるみで表現したその先に、シャチやシロクマの死骸を微生物が分解し、それを養分として植物プランクトンが育ち、オキアミがそれを食べるという生命の繋がりのことを指します。その部分は、商品に取り付けております下げ札(購入後に取り外すことも可能な商品説明の紙)で、イラストや専門家の監修を受けた文章で表現しております。購入後に、食物連鎖を意識しながら遊んでいただき、学びのきっかけのひとつになれたら幸いです。
――SNSで反響がありました。
全て大切に読ませていただいております。開発背景にあります「生態や生育環境の表現」が正しく伝わり、ご興味を持っていただけていて、大変嬉しく思っております。嬉しかったコメントとしては、「授業で使えそう」、「可愛いに加えてちゃんと仕組みを理解できるのもいい」、「一瞬ビックリするが、これはこれで大切なことを伝えていると思う」など、他にもたくさんあります。
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「今後は動物園、水族館の飼育員さんと共同で開発するぬいぐるみなどを作成予定です、各動物園や水族館に遊びに来ていただきたいです」とも話す宮地さん。同シリーズにどんな仲間たちが加わっていくのか、ぜひ見ていきたいですね。