夏の大文字の送り火を背にして走る市電や、一面の田んぼの中を疾走する電車-。1950~90年代の京都市電と叡山電鉄の車両の写真を集めた写真展「なつかしい左京区の電車」が、京都市左京合同福祉センターで開かれています。
京都は日本最初の営業用電車が走った町として知られます。京都市電は1895(明治28)年開業の京都電気鉄道の路線を引き継ぎ、全廃となる1978(昭和53)年まで都大路を駆け抜けました。
一方、写真展のもう一つの主役、叡山電鉄は1925(大正14)年の開業です。現在では、通勤通学や鞍馬・貴船方面の観光客の足として親しまれています。
今回の写真展は1950~90年代がメインなので、会場ではレトロな写真が目立ちます。建設中の市電線路敷地で遊ぶ子供たちや、旧型の京都市バスと並走する市電の写真があります。さらには、京都らしく、神社の鳥居越しに市電をとらえた写真も展示されています。
叡山電鉄関連は、今では見られない光景の写真が多く見られます。宅地化される前の水田の中を走る車両のほか、のどかな雰囲気のターミナル出町柳駅や、進行方向を変えるためトロリーポールを付ける乗務員を写した1枚などもあります。
写真展は、京都市左京図書館と鉄道友の会京都支部が開きました。鉄道友の会京都支部の島本由紀事務局長は「今では京都市電が走っていた時代を知る人も少なくなりました。こんな光景が見られたんだと知ってもらいたいです」と話します。写真展は11月1日まで、入場無料です。