結婚式をもっと自由に、もっとシンプルに 神戸・北野から新しいスタイルを提案

黒川 裕生 黒川 裕生

新型コロナウイルスの影響で深刻なダメージを受けているブライダル業界と、異人館で知られる神戸の観光地・北野のまちに活気を取り戻そうと、結婚式の新しい形を提案するイベントが24日、神戸市中央区北野町の家具店「プラス・カーサ神戸北野坂」で行われた。式場やチャペルは使わず、北野坂に面した建物のエントランス部分を即席の会場にするというユニークな試み。企画した関係者らは「結婚式はもっと自由でいい。神戸から“シンプル・ウエディング”を発信していきたい」と意気込んでいる。

主催したのは、神戸を拠点に活躍する起業家のダマ奈津子さん。北野をブライダルのまちに育て上げた立役者でもあり、コロナ禍で業界と北野が落ち込んでいくことに心を痛めていたという。

神戸だけでなく全国の結婚式場で延期やキャンセルが相次ぐ中、奈津子さんは従来の形にとらわれないシンプルな式の形を考案。ウエディングプランナーの山田知江美さんが企画と総合プロデュースを務め、わずか2週間で実現にこぎ着けた。

この日、式に臨んだのは、実際に結婚したばかりという寿一さん・真里さん夫妻。さらに、今年が結婚50周年という奈津子さん・ロツシヤンさん夫妻ら、アニバーサリーを祝いたい“ベテラン”の3組も参加した。計4組のカップルは、牧師を務めるロックバンド「ゴダイゴ」のスティーヴ・フォックスさんの前で順に誓いの言葉を交わし、集まった友人ら約40人から温かい拍手を送られていた。

会場はほぼ屋外で、レッドカーペットと祭壇のほかは簡易チェアが少し並べられた程度。音楽が鳴り響く式の様子は、北野坂を行き交う観光客からも丸見えで、中にはにこやかに手を振ったり、足を止めて写真を撮ったりする人もいた。

ちなみに「プラス・カーサ神戸北野坂」の会場費は無料。ただし、司会や音楽、牧師、カメラマン、衣装などが必要な場合は、各自が手配しなければならない。山田さんは「0円でやろうと思えばできますし、豪華にしようと思えばどこまでも豪華にできます。業界のルールにとらわれず、それぞれの結婚式を挙げてみませんか」と提案。「観光のついでに好きな場所で式を挙げるくらいの気軽さが、もっとあっていい。暗いニュースが多い昨今ですが、結婚式をもっと自由に考えるプラスのきっかけになれば」と願う。

「プラス・カーサ神戸北野坂」に限らず、「式はもちろんどこででもできます。それこそ、公園などでもいいじゃないですか」と奈津子さん。「もっともっと式を楽しんで、新しい文化を広めていきましょう」と呼び掛けている。

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